それから、早期退職者制度を設けて50%退職金をアップすることにしたら、相当の人が殺到したというのは、恐らくこの銀行はだめだと思っているのではなくて、この銀行はやり甲斐のある仕事をさせてくれないということではないかと思います。優秀な人材がいる銀行は特にそうだろうと思うんですね。つまり、別にここにいたっていいよ。だけど僕は、私は、もう少し自分のやりたいことをリスクをとってやりたいんだという方がいればいるほど、どこかほかの新天地を求めていくのではないかと思います。だから私はやはり銀行がやるべきことというのは、従業員の働くインセンティブを高めるような、やりたいことをやらせてあげるような、それからリスクはちゃんと自分でとりなさいという人事体系をつくることだと思います。
大手銀行が職能給の比率を大幅にアップして、今でも相当給料に差があるのをもっと広げると言っていますが、それでもやはり外資系に比べれば必ずしも魅力のある体系になっていないのかなあという感じがします。人を雇うときも、部門ごとにもっとフレキシブルに雇うような、そういう制度を早く導入してもいいのではないかと思うのですが。
司会者 ありがとうございます。時間がだんだんなくなってきまして、それで、Eさんにコメントないし質問をいただいて、あともし差し支えなければ、せっかくなので専門家のFさんからぜひコメントいただければと思います。すみません勝手に。それではEさん、Fさんお2人に発言いただいて、大体それで締めさせていただきたいと思います。
E 稼働資産がかなりあると思うのですが、企業が担保に差し出しているようなもの、企業と銀行が綱引きをやっている間は動かないというようなものですね。望ましいことは最終的なユーザーの手に渡って稼働するということなのですが、そのために今徐々に始まっている銀行の債権放棄ですね。ゼネコンなどが行っていますが。これをもっとエンカレッジしてやらせたほうがいいのか、それとも逆に貸出の回収を強めてもらって、企業を倒産に追い込んだほうがいいのか、この債権放棄ということについてはどうお考えでしょうか。
司会者 Fさん、お願いします。
F 私、小原さんのおっしゃることには基本的に賛成なのですが、ただお聞きしていて銀行だけの問題ではないなという気がするんですね。なにか自分たちは別で、銀行を悪く言っていられる立場ではないという感じがして、程度の差はあるでしようが、日本の社会に生きている限り、銀行に対して指摘されたことを自分の身に引き寄せたときに、「そうじゃない」と言い切れるだけのポジションにいる人が、どれだけいるのだろうかと思うのです。大学なんか、同じ基準で評価されたときに、どれぐらい対抗できるんだろうかというふうに思います。