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だから、今から日本の銀行の将来ビジョンを考えるときに、共産主義の国で銀行経営はどうであったかということをむしろ勉強したほうがいいくらいではないかと思います。(笑) これは私が、皮肉に思っていることです。それで1つ質問になりますが、日本の銀行は株式をいっぱいもっていますね。含み益8兆円、それから不景気になって株価が下がっていけばたちまち含み損も8兆円、つまり、そういうヨーロッパやアメリカの銀行と8%だ4%だという同じベルトの穴をあけた物差しでやっています。日本の銀行の体型というのは違うんですね。

もう大手19行で40兆円ぐらいでしょう。そういう株を持って、そのでっ腹が景気のいいときには株価が上がるから含み益が出て、貸出競争に走って景気を過熱させる。今度は不景気になったら株価が下がって含み損。そうすると貸し渋りどころか、どんどん貸出を回収する。天気のいいときには傘をどんどん押し付け、雨が降ったらとたんに傘を取り上げる。これが日本の景気に対し、経済に対して、銀行というのは経済を助ける存在だったのが、今は経済をかく乱するようになってしまっていると思うのです。

だから、私は株式を取り上げるべきだと思っているんですね。取り上げるというのは傲慢な言い方になりますが、公的資金を投入するのだったら、それに見合う株式をちゃんと政府に差し出すべきだと思いますね。10兆円入れたら、10兆円分のNTTも日立も東芝もあるんですよ。国民はそういう目で見ていますよ。なぜあれだけの不動産を持ち、あれだけの株を持っているところに税金まで差し上げるんですかと。世田谷の人はどう言っているか。「豪邸に住んでいる人の預貯金を、隣の私がなぜ払う」(笑) これをペイオフにしています。今ボーダーレスですからね。私は大蔵委員会でそれをもじって、大蔵大臣に質問しました。「フロリダに住んでいる社長の預貯金を、日本の私がなぜ払う」これは全く矛盾してしまっているでしょう。日本人の税金をなぜそういうことに使わなければならないのか。

だから、銀行は持っている株式を出す。そうすることによって、銀行のスリム化、体質改善を図る。同時に、銀行の持ち株というものを第2次証券放出の材料に使って、それを放出すべきだと思いますね。だから私が提案したのは、転換社債、国債を発行して、その国債で買い付けたその株式を、値上がりしたらどんどん投資信託として国債を買った人に転換してあげる。転換国債ですね。そういったようなことも、具体的に提案したことがあります。銀行の持ち株、欧米のスリムな体型に比べて日本の銀行はたくさんの株を持っている、というこれをどういうふうにお考えになりますか。

 

 

 

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