メリルリンチは30の支店をつくりましたが、あれは証券会社の支店というよりも日本のお金のための職業安定所です。ハローワークではなくてハローマネーです。(笑) 要するに、50年前、日本という国は資本主義か社会主義か共産主義か、その3つの選択で共産主義をとらなかった。社会主義もとらなかった。選んだのは資本主義だった。そしてこれは正しかったと思うのです。いろいろな意味で活力を与えた。人は働いてお金をもらえる。お金も働いて利益をもらえる。両方が働けるから豊かな暮らしができる、これが資本主義の理念だと思うのです。
ところが今、日本はお金に給料を払わない国になってしまったんですね。お金が失業しているのです。人が失業して失業率最高、会社が失業して倒産率最高、そのうえお金までが失業しているのです。私は予算委員会で小渕さんに言いましたよ。「人を失業させて、会社を失業させて、お金まで失業させている。こんなお粗末な政治がどこにあるか。自分の国のお金をよそにどんどん出稼ぎに行かせる。これは島根県の田舎の村長さんがやることなんだ」と。(笑) 大阪の松下に行って、名古屋のトヨタに行って、それは島根県の田舎には職場がないからです。
「日本のように世界の経済大国と言われている国が、自分の国のお金をよそに出稼ぎに行かせている。こんなお粗末な総理大臣があるか」と私は言いました。日本のお金は英語のしゃべれないアメリカで心細い思いで仕事をしています。(笑) 本当かどうか知りませんよ。そう言ったほうが小渕さんに分かりやすい。「日本のお金は日本で仕事をしたがっている。日本のお金の気持ちが分かるような政治をやってください。お金の失業対策をやるべきだ。お金がみんなタンスや仏壇の引き出しで失業してしまっていますよ」と。
つまり日本は限りなく共産主義に近い国になっている。そうでしょう。公的資金導入して、どんどん国有化している。銀行の自主的な経営権を奪っていく。これは資本主義ではありません。50年間資本主義をやってきて、結局行き着いたのは見事に共産主義です。共産党は予算委員会で何と言っているか。「資本主義の原点を守れ」と言っている。(笑) 資本主義を否定してきた共産党が、自民党に対して資本主義の原理を尊重すべきではないかと言っているのです。公的資金をどんどん入れる、税金でね。そしてお金に給料を払わない。人しか働けないというのが共産主義です、お金が働いてはならない。短期的に言いますと、今日本はまさにそうなってきていますよ。人が病気になってもお金が働いてくれる、人が定年になってもお金が代わって働いてくれる、これが資本主義です。これが今は人しか働けない国になっている。