これはほかの業種もそうだと思いますが、投資家としてというよりは日本の国民として、ちょっと悲しいなというか、もっと頑張れば、我々を含めて国民が厳しく頑張れば、もしかしたら10年後もっとすごい国になっているかもしれないのに、今のままでいくと経営者はいない、いつでも助けてもらえるということになったらば、単に巨大な、例えば財政赤字も巨大な、それから公的資金も巨額に入っている、そういう産業のなかで、薄い利鞘を追って、その一方の30%ぐらいのところに外資とか何か新進の業界が生き生きと利益を上げているという、そういう社会になってしまうのが怖いですね。
3番目の質問について、私は多分経営者は新規参入は起こらないというふうに思っているだろうと思うのです。某銀行の経営者はあまりにも変化が早すぎて、何かダイヤモンドかなんかでやったアンケートでちょっと人気が落ちているということですが、あの程度の変化でついていけないというのは、日本は相当のんびりとした国なんだなあと思います(笑)。
私は前に欧州系銀行の証券会社にいたんですよ。いい会社だったんですね。もう社員にとっては天国という感じで幸せだったのですが、合併したとたんに普通程度に厳しくなってしまったんですね。何を間違ってかもっと厳しいところで今は働いていますが。(笑)
多くの米国企業が設定している当たり前のルールのなかで、全員が効率を上げるために猛烈な努力をします。これは、やはり日本の人に全部あてはめるというのはちょっと酷で、例えば何人ものお子さんを育てなければならないとか、家族がおおぜいいるとかいうことであれば、不安に感じるのは確かだと思うのです。
だからそういうことを考えると、結論は簡単で、日本は変わらないだろうなということです。(笑)
司会者 では、Dさん、Cさん、Eさんの順番でお願いします。
D 私も元モルガン・スタンレーですが、もう時代も違いますし、それから私は調査のほうではなくて、インベストメント・バンキングのほうからずっと日本の銀行を担当していまして、いろいろなお付き合いもさせていただきましたが、いろいろお話を伺っているなかで、「ああやはり変わっていないな」ということもある。そのなかでいろいろな固有名詞を挙げたお話がありましたが、Cさんがいらっしゃるから言うわけではありませんけれども、モルガンが当時一番注目していたのは住友と三和なんですね。