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例えばヨーロッパ、アメリカの投資家を回っても、「日本の金融が再生した」とか、「これから景気が回復してガンガン収益性が上がる」と言っている人はほとんどいなくて、みんな懐疑的なわけです。

ただ、いくらなんでもあれだけ大きな混乱があったあとで、公的資金が入って、景気対策も効果があるかないか分からないけれども、やっている今しかないわけですね、こんなに安定しているときが。だから、ここぞとばかり、買った売ったとなるわけです。この強気相場がどうもまだ続くのではないか。要するにあとはどこまで続くかということの当てっこになっていて、3月ぐらいから5月の決算発表あたりというのはちょっと節目なのではないかというふうに言われていたのです。しかし、だんだん時間が経つにつれて、もうちょっと後かなと言う人が増えています。そういう判断によって短期的に売り買いしている面というのはあるのではないでしょうか。

それから、第2点目の経営者ではないというのも、これは当然そうですね。ただ、3点目とあいまって言うと、どんな変化が起こるか分からないかもしれないというのは、ちょっと考えておいたほうがいいのではないでしょうか。というのは、私は100%のなかで20%ぐらい思っているんですね。それはさっきのイノベーションであったり、新規参入がどこからやってくるか分からないようなインフラが整ってきたということで、過去20年間にアメリカで起こっているいわゆるビッグバン的な行動と、今これから20年間ぐらいで起こる日本の変化というのは必ずしも同じではない。というのは、そういうイノベーション的な変化も一緒にくっついているような規制緩和だから何が起こるか分からない。

そういったことを少しでも普通は考えるんじゃないか。恐らく証券会社なら規制保護が弱い業界なので、銀行よりも真剣に考えていると思うのです。だけど銀行は、悲しいかな、いつでも公的資金をもらえるという甘えがあった。

そういう銀行に、「健全化計画はこれは必達の目標値で、もしこれができなかったら、私は責任をとって辞める」と言われても、辞めることが本当の意味で「責任をとる」ことなのか疑問です。

経営者は株主に責任があるというより、やはり社員に対する思いやりというか、そちらのほうに動いているなという感じがします。

 

 

 

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