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司会者 アドバイザー、お金を貸すんじゃなくて人材を貸すということですね。

D 短期的な話はいいんですけれどもね、長期的にやろうと思ったら、やはりそこには限界があるので、少しやり方を変えるべきだと思うんです。

白井 そうですね。それは私も同感です。ですから私もこの本で、確かにマクロとミクロの相互関係というのは非常に重要なんですね。やはりIMFも構造改革というのを入れるようになって、特に80年代からESAF融資制度というのが成立して考慮に入れるようになったのですが。しかし、専門性がないということもありますし、ミクロの知識が非常に欠けているわけです。そうしますと、そのことをある程度より詳細な、相対的に世界銀行あるいは新規の国際機関とかありますし、NGOといったものと交渉なりプログラムに参加してもらうなりの努力が必要だと思いますね。ですから、そういった意味でのフレームワークづくりというのは今後考えていかなければならないと思います。

司会者 時間がなくなってきましたので、最後にEさんとFさんにまとめて質問していただいて、それにお答えいただきたいと思います。

E 私はこの席でGさんと同じように素人で、今までの方のようにエコノミックチームではありません。従って、難しいコメントはできないのですが、質問を2つしたいと思います。1つは資料の3ページにIMFプログラムに対する批判というのが並んでいますけれども、そのなかに妥当な批判もあればそうでない批判もあると思うのですが、このうち「国の特殊性、文化を無視している」という批判についてですが、アジアの成長をめぐって僕はグローバリゼーション派とエイジアン・バリュー(Asian Value)派とかいろいろな見方があると思うんですね。

成長そのものはグローバリゼーションにのって成長したのだと思いますが、そのなかでアジア的というか、かなりリーダーみたいなのが出てきている。ところが1回危機になるとちょっとその自信を失ったけれども、IMF批判のなかでまた自信を取り戻している。一方グローバリゼーション派のほうはなんだかんだいいながら状況がよくなると自信を回復してきていると僕は思うんですね。そうすると両方が自信を回復している。そうなると国の特殊性、文化を無視しているという批判は妥当だったのかどうかということは分からなくなっている。どちらかが完全に自信を失っていれば、まだ分かるのですが、そうでないとするとこの批判がどの程度の妥当性をもっているのかというのが1つですね。

 

 

 

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