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IMFの協定のなかでは、IMFは国際収支問題を抱えている国に対しては、十分なセーフガードのあるもとでお金を貸すと言っています。ということは、やはり融資したお金は返ってくる必要があるわけで、コンディショナリティーというのを付与しているのです。現在のところ、融資とプログラムの開始のタイミングがかなり近くなっています。そうしますと融資速度を加速することで、プログラムはかなり急いで作られてしまうことになり、必ずしも十分に検討されないで作成されることになってしまっています。今回のアジア危機がそうだったと思います。そうしますと、早急に作成したプログラム自体の内容がよくないものであれば、結果的にはそれはその国の最終目標に非常に悪い影響を及ぼしますので、やはりプログラムの決定の時期と融資の時期を、ある一定の国に関しては区別する必要があると思います。例えばある一定のマクロ経済指標で、危機の発生する前にある一定の基準を満たしている国に関しては、プログラム作成をもう少し時間をあとにして、とりあえず多額の融資をするというようなことをする必要があると思います。

あとは簡単に列挙しますと、金融機関の健全性を促進するような体制づくり、財政政策の透明性を促進するような体制づくり、それから、IMFの融資額の拡大、ということですね。今1年間での外貨の取引額というのは、300兆ドルです。ところがIMFがユーザブルな融資額というのは、たったの800億ドルで、全然比較の対象にならないわけです。ここのところをなんとか危機のあるときにたくさんのお金を貸せるような体制づくりが必要になると思っています。

あとは実は、アジアの話をしたかったのですが、簡単にタイトルだけ読んでいきますと、インドネシア、タイ、韓国のプログラムというのがあります。これをみますと幾つかの特徴があります。

1つは極めて短期間に非常に大幅な予測の修正が行われています。どういったことで予測の修正が行われているかというと、経済成長率、インフレ率、為替レートなどを大幅に修正しています。この背景にはいろいろな理由があります。IMFのほうも理由を用意しています。ですが、基本的には危機の深刻化に対するIMFの予測の誤り、楽観的な見解だったわけです。

それから2つ目の特徴としては、ソーシャル・セーフティネットに対する考慮です。

 

 

 

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