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いい結果が出ていないというのは、何をみているかというと最終目標をみているわけです。その最終目標があまり好ましい結果になっていないということは、やはり中間目標に焦点をあてすぎているわけです。そういうことで、IMFは本来の目標を見誤っている、中間目標ばかりを見過ぎたがために、最終目標を見失っているというふうに指摘する人もいます。

一例としましては、基本的にはIMFというのは先ほどの第7式をご覧になってお分かりのように、マネタリーサーベイをみているわけです。そこで例えばマネーサプライ、ハイ・パワード・マネーといったものを中間目標にしているのですが、例えばある国で、金融市場が自由化されているなかで、どんどん新しい金融手法が出てきますと、当然ながらにして貨幣需要というのは非常に不安定になってきます。そうしますと、マネーサプライというターゲットを設定したとしても、インフレと必ずしも結び付かないわけです。あるマネーサプライのターゲットを満たしたからといってインフレ率が低下するかというと、そうではないわけです。

そういうことで、インフレーション・ターゲッティングという方向にやはりいかざるを得ないのではないか。ただ、インフレーション・ターゲッティングという政策というのは非常に準備を要するものです。ですから簡単に、明日からインフレーション・ターゲッティングという政策に移ろうといってもできるものではありませんが、今後はやはりそういう方向にいかざるを得ないと思います。実際にブラジルもインフレーション・ターゲッティングに移るというような話をしておりますし、やはりこれからはインフレーションというのは最終目標なわけですから、マネタリー・ターゲットではなくて最終目標であるインフレーション・ターゲッティングに焦点をあてたプログラムづくりをしていく必要があるということです。

それから、対外均衡と国内均衡のバランスです。本来のプログラムの目標は先ほど申し上げましたように対外均衡と国内均衡をバランスよく達成することにあるのに、現実にはやはり対外均衡という、外貨準備を早く蓄積していくということのほうに焦点が移っていきます。1つの理由は先ほどから申し上げているように、IMFが融資のできる条件というのは、国際収支問題に直面している国ですから、どうしても外貨準備のほうに目が移ってしまいますが、もう少し国内均衡とのバランスをとったプログラムづくりをやっていかなければいけないというのが、私がプログラム作りをやっていて思ったところです。

 

 

 

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