そうしますとこの国内信用というのは、民間部門による国内信用貸出ですから、これを民間部門と政府部門に分けます。そして民間部門のほうはどのように推計するかというと、すでに最終目標として設定している経済成長率、それからインクレメンタル・キャピタル・アウトプット・レシオという経済成長率と投資比率の関係式を過去のパターンから導き出しまして、それによってある経済成長率を達成するのに必要な民間部門の投資額というのを出します。そして、それに必要な国内信用、民間部門に対する国内信用残高というのを導出します。最終的に残差となるのは、銀行部門による政府部門に対する国内信用残高です。それは大雑把に言って財政赤字の上限ということになります。それで最終的には、このようにDGというのが中間目標になります。
最終目標を達成するために必要な中間目標がこのDGですけれども、これを政府がすでに編成している予算と比べてみます。そうしますとその予算のほうが、このIMFのプログラムで設定した国内信用残高よりも上回ることが多いわけです。そうしますとそこで、適切な税制政策を要請したり、歳出を減らすとか、あるいはそれが無理な場合には、もともと設定しているR、外貨準備を修正したり、それから実質所得水準とかインフレ率目標を修正して、先ほど述べました4つの部門が整合性をもつように、何度も繰り返し作業をしまして、最終的にパフォーマンス・クライテリアを導いています。そして、パフォーマンス・クライテリアで非常に重要な指標が、この政府部門に対する国内信用残高です。
ここでは簡単に申し上げたいのですが、こういったファイナンシャル・プログラミングの前提となっている基本的な仮定がありますが、そういう仮定というのは実は問題があるのではないかということです。各国が国内金融市場を自由化して、また金利がマーケットベースで動くようになって、しかも国際資本移動が非常に高まっている、そういった状況のなかで実はこのファイナンシャル・プログラミングの基礎になっている仮定が成立しなくなっているということを実はこの本では述べています。それを強調しています。