次に、今度はマネーサプライという銀行部門の連結バランスシートの恒等式をみてみたいと思いますが、第7式はそのような恒等式を表しています。つまりマネーサプライの変化というのは、外貨準備、バランスシートでは純対外資産といっていますが、その外貨準備の変化と国内信用の変化の合計に等しいと、非常に単純化していますけれども、そういう関係式に表すことができます。
ΔM = ΔR + ΔD ……(7)
M : マネーサプライ (貸借対照表)
D : 純対内資産 (同上)
ちょっとここを省略しまして、最終的には外貨準備の変化というのは、経常収支と資本収支の合計に等しいということを表しています。その外貨準備の変化というのは、第7式からお分かりのように、マネーサプライの変化から国内信用の変化を引いたものに等しいという関係式を表しています。
それではこの10式から、外貨準備を蓄積するためにはどうしたらいいのか、まず考えられるのは財政引き締めです。財政引き締めをすればアブソープションが低下しますし、それから対外債務が減っていけば元本の支払いも減りますので、経常収支も改善していきます。これは恒等式ですから、右辺でいえばDという銀行部門による政府部門に対する国内信用が財政赤字の削減によって減りますので、それによって外貨準備が蓄積されることになるわけです。
Y - A + KA = ΔM - ΔD ‥‥‥(10)
このようにしてプログラムが作られているわけですが、具体的なステップがどうなっているかといいますと、まず外貨準備というのを設定します。長期的に持続可能なレベルに達成するために、まず1年後の外貨準備残高を設定します。ですからここでは、持続可能性というのを考慮に入れています。その次に第7式をご覧になっていただきたいのですが、まずRを設定し、次に貨幣需要関数というのを用いまして、マネーサプライというのを予測します。そうしますと第7式から非常に単純化していますが、残差として出てくるのがDという国内信用です。