次に、ファイナンシャル・プログラミングについて非常に単純化したかたちで簡単に説明しますと、基本的には今申し上げた4部門のリンケージでできています。まず、第1式というのはこれは単に国際収支表の恒等式を表しているにすぎません。つまりRというのは外貨準備残高です。全銀行の、中央銀行を含む銀行の外貨準備の変化というのは、経常収支CAと資本収支KAに等しいという恒等式を表しています。
ΔR = CA + KA ‥‥‥‥(1)
R : 全銀行の外貨準備 (国際収支表)
CA : 経常収支 (同上)
KA : 資本収支 (同上)
それから第2式では、この経常収支というのが、1年間にある国が得られる所得(Y)とアブソープション(A)との格差で表されるという関係式を表しているにすぎません。それから第3式は、このアブソープションが国内の消費と投資と政府支出からなっているという関係式を表しています。第4式は、この経常収支がさらに貯蓄と投資の格差で表せるという関係式を表しています。
CA = Y - A ‥‥‥‥‥(2)
Y : 名目生産・所得額 (国民所得表)
A : アブソープション (同上)
A = C + I + G ‥‥‥(3)
CA = S - I ‥‥‥‥‥(4)
第5式はさらにこの経常収支が、貯蓄、投資バランスと等しいという関係式を民間部門と政府部門に分けます。そこで第5式は、経常収支が民間部門の貯蓄超過と政府部門の貯蓄豪華の合計に等しいという式を表しています。ですから経常収支が赤字の国というのは、民間部門の貯蓄超過、あるいは政府部門の貯蓄超過、またはその両方によってなっているというような関係を表しています。