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その理由は、IMFが通常ある国にお金を融資するといった場合に、一度に資金提供をするわけではないのです。プログラムの達成度に応じて、融資することを継続するかどうかを決めるわけです。そのときの判定の基準になるのがパフォーマンス・クライテリアです。プログラムではさまざまなターゲットがありますが、そのなかで特に重視しなければならないのはこのパフォーマンス・クライテリアです。

なぜならば、例えばマネーサプライがターゲットだとします。しかし、それがパフォーマンス・クライテリアでなければ、仮に達成されなくても、達成されない十分な理由があれば融資は継続されるわけです。ですがパフォーマンス・クライテリアを満たさないと、これはよっぽどの理由がないと、ウエーバー (免責権) を発行できないのです。そうしますと融資が止まってしまうということになりますので、プログラムの交渉のときにまず何がパフォーマンス・クライテリアになっているかということを、非常に明確にする必要があるのです。そういった意味でも今回のインドネシア、韓国、タイのプログラムも何がパフォーマンス・クライテリアになっているのかをみるのは、非常に重要です。

従って、基本的には最終目標からこのパフォーマンス・クライテリアを導くわけですが、そのときにこの4つのセクターが整合性をもつように、大変イタラティブなプロセスを踏んで、最終的なターゲットを導いていくということを行っているわけです。1950年代に、いわゆるスタンドバイ融資制度という、どちらかというと先進国を対象とした融資制度ができたのです。そのときは、対象国がブレトンウッズ体制のもとで固定相場制を維持するということでしたから、それを維持するために一時的に必要な融資をするのが融資目的であったことから、対象国の多くが先進国であったのです。ですから50年代から60年代にかけては、構造改革というのはいまほど重要ではありませんでした。従って、それまではこういうサプライサイド政策がなくて、いま説明しました形でプログラムが作成されていました。ところがブレトンウッズ体制が崩壊して、融資対象国が発展途上国に移るようになってきますと、構造改革が非常に重要になってきました。そうしますと、ここにサプライサイド政策が入ってきて、それらを含めたパフォーマンス・クライテリアが選択されているというのが現状です。

 

 

 

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