国内均衡を達成するというのは、国内にある生産資源などを完全に雇用する、そういったレベルでの生産水準を達成するということです。従って、プログラムというのは基本的には、対外均衡と国内均衡を同時に達成することを目的にして作られています。この図は本の中で説明していますので省略しますが、基本的にはこの2つの均衡を同時に達成するために、最適な金融政策、財政政策、そして為替政策、最近ではサプライサイド政策というのが組まれて、プログラムが作られているわけです。
次に、IMFの支援プログラムの作成プロセスですが、これも簡単に申し上げますと、基本的にはIMFではある国を分析するときに4つの部門に分けます。各部門が各マクロ経済表にリンクしています。4つの部門は、まず実質部門、リアルセクターと呼ばれるもので、この部門は国民所得表とリンクしていまして、ここで重要になってくるマクロ経済指標というのはGDPとかインフレ率、投資率、貯蓄率といったものです。
それから対外部門というのがありまして、これは国際収支表と結び付いており、ここで重要になってくるマクロ経済指標というのは外貨準備、輸出、輸入、為替レート、対外債務とか援助、資本収支、経常収支といったものです。ここでは、重要なものだけを列挙してあります。
それから政府部門があります。ここで重要になってくる経済指標というのが、財政勘定です。ここでは関税収入とか歳入、歳出とか対外・国内債務などが重要になってきます。
それから最後に、貨幣部門ですが、IMFではマネタリサーベイと呼んでおります。簡単にいってしまえば、中央銀行とすべての銀行部門のバランスシートを連結した経済表にリンクしたものがあります。ここでは国内信用とかマネーサプライ、ハイ・パワード・マネー、金利、支払準備率、そういったものが重要な変数となってきます。
通常は、ある国を訪問する際には、各エコノミストが各部門を担当しまして、まず最終目標というのを決めます。最終目標というのは、まさにプログラムを作成するために必要な目標ですが、経済成長率であるとか、インフレ率だとか、サステイナブルな水準を達成するための国際収支レベル、そういうものが最終目標です。それで、まずそれを設定しまして、それを達成するように、最終的にはここにパフォーマンス・クライテリアという指標を導きます。このパフォーマンス・クライテリアというのは大変重要なものです。