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ついこの間も電話の盗聴事件で、ハビビがあまりやる気がないということが暴露されて、これはみんなもう分かっていることですけれども、こういう一種のなあなあの動きというのが恐らく選挙のあとなくなるでしょうね。それをなんとかして阻止しようとしてもがいているのが、今のスハルトではないかと思います。

それからもう1つの東南アジアの他国ですけれども、選挙監視は恐らくフィリピンのナンフラルのグループというのは入ってくると思います。実際これはインドネシアでも、ご承知のように大学連合が選挙監視をかなりはっきりとやろうとしていますし、国際的にもUNDPが中心になって恐らくやられると思いますので、そういう態勢というのはできるだろうと思います。

むしろ、私がちょっと申し上げておきたいのは、ただそれにもかかわらず東南アジアのその他の国々のインドネシアに対する理解度は非常に低い。例えば、一昨年の11月頃からアメリカ政府はシンガポールにものすごく頼りました。ですからクリントンがスハルトに電話をする前には、必ずゴー・チョクトンと50分電話をし、そこでゴー・チョクトンから話を聞いて、そのうえでスハルトに電話をするとかですね。あるいはスタンレー・ロスがインドネシアに行くときには、必ずシンガポールに寄って、そこでゴー・チョクトンに会って、そのうえで行くとか。

そうやってきて昨年の10月頃になって、これはロスが直接私に言ったことですが、シンガポールは何も分かっていないと言うんですね。なぜかというと、結局シンガポールのゴー・チョクトンだとかリカインのところに入ってくる情報というのは、ほとんどチャイニーズのタイクーンの情報なんです。だから極めてバイアスのかかった情報しか入ってきていなくて、次から次と読み間違うというのです。で、他の国のインドネシアの状況に対する理解はもっと低いですから。

だから、かなり困った状況だなということです。なんかそこでも日本のできることってあるのかなと思いますけれどもね。例えば非常に重要なことはASEAN、ASEANといいますけれども、実はASEANのなかで地域専門家というのはほとんどいないのです。だから、例えばタイにインドネシアの専門家はいませんし、フィリピンにタイの専門家はいません。そういう地域専門家を育成するということは、長期的に非常に大事なことで、これは日本としても何かできるのではないかという気がしますけれども。

 

 

 

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