それが先ほど申し上げましたように、例えばカリマンタンで最終的に、これは2週間ぐらい前の話ですけれども、カリマンタンの場合には1,000人ぐらいの地方組織レベルの世話人が90%ぐらいやめてしまうのです。こういうことで、例えばジャワですと、村長さんが攻撃される。これはスハルト時代にジャカルタでスハルトの息子が好きなことをやったんですね。そうしますとこれがいいお手本になりまして、州レベルでは州知事とその子供がスハルトとまったく同じことをやるわけです。それから県のレベルでは、県知事がまったく同じことをやるのです。一番下の村では、村の村長さんとその奥さん、子供が、スハルトがやったこととまったく同じことをやったんです。
それはどういうことかといいますと、例えば開発資金が下りてくると全部ポケットに入れてしまう。あるいはいろいろな公共事業のプロジェクトが下りてくると、全部子供や奥さんにやらせて、それで自分のところに返ってくるようにする。要するにジャカルタでお手本があるのとまったく同じことをやる。だからスハルトが倒れますと、そのあと大体6月、7月、8月と、どんどん下のほうにミニスハルト攻撃が始まるのです。それでちょうど私昨年の8月に中部ジャワと北スマトラに行っていたのですが、このころはもう村長攻撃がものすごい状態になっていまして、中部ジャワのジョグジャカルタというスルタンのいる所がありますが、ここのバントゥールケンという1つの県では大体400の村のうちで100村、だから大体25%ぐらいの村で村長のつるし上げが行われました。
つるし上げで何をやるかというと、要するにスハルト時代に例えば手数料が1万ルピアの住民票を貰う、1万ルピアなのを村長が勝手に10万ルピアにする。あるいは政府から開発資金が年に500万ルピア程度下りてくると、それを全部自分のポケットに入れてしまう。あれどうなったんだ。あるいは村に土地がある。これは村の土地なんですね。それを村長が勝手に売ってしまう、その売上を全部自分のものにしてしまう。あの土地どこにいったんだ、とそういう話なのです。
その結果、村長が日のあたる中で5時間、6時間ずっとつるし上げられる。村の人はみんな日傘をさしているんですね。村長だけその暑い中で、汗をダラダラ流しながらつるし上げをくっている。そういうなかで結局もういやだと村長をやめるという人が次から次へと出てきまして、村長というのはゴルカルの一番末端の世話人ですけれども、そういう一番末端の所でゴルカルの機構が崩れていく。ですからいくらジャカルタでゴルカルを掌握しても、もうかつてのようにゴルカルが1つのマシーンとして動かなくなる。