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鈴木 そういうふうに持っていきたい。

でも、さっき言ったように分かれ目だと思っています。もしかすると、そこからもう一度落ちていくかもしれない。そのときは、大変だろうと思います。

B 産業界が、今のような形のリストラではなくて、ほんとうに未来の需要をつかんで自己改革をしないと、僕は株は上がってこないのではないかという気がするんですね。

鈴木 そうですよね。最近、ちらちら新聞に出ているような動きが、もっともっと出てきてくれないと困るんですね。今言ったような新しい制度を利用して、新しい企業グループをつくってみたり、逆に分社化してみたりね。そういう動きが。それで、切り捨てるところは思い切って切り捨ててというところが、もっともっと新聞紙上をにぎわすようになってくればいい。

B 実は、そっちが雇用問題の基本なのですね。

鈴木 その中で雇用問題を解決する。雇用は、シフトしなきゃ解決しませんよね。今までのように効率の悪い、金融界と建設と流通と、こういうところにごっそりいたわけでしょう。ここから切り離さなかったらだめですよ。

B 建設ゼネコンは8万件あるんですね。ガソリンスタンドは5万5,000件ですから、ゼネコンのほうが多いんですね。あれは、この20年間で30倍に増えているのです。

鈴木 日本の産業で一番おくれをとったのが、今言った金融と流通とゼネコンのところではないですか。それが雇用を抱えているという、この構造を壊さなかったら雇用問題の解決なんてできない。

B 長期はそこなんですけど、短期はそこを一生懸命……。だから変わらないわけですよ。

司会者 もう1つ、おくれている3つでよく言われるのは、政治とマスコミと教育だと。

鈴木 それは間違いない。この3つのおくれはひどいですな。

司会者 実は、さっきの雇用の話でぜひお伺いしたいのは、セーフティ・ネットの場合に、もうご指摘のとおり、労働者をいかに抱え込むかということをやっていたわけですけれども、それではもうだめだということは、だれの目にも明らかだと思うのです。

そうすると、最大のセーフティ・ネットというのは、詰まるところ自分の能力であるというのが原則だと思うんですね。そうすると、さっき言った教育投資、人材育成というものが大変重要になってくる。これはノーベル賞を取ったベッカーが前から言っていますけど、基本的には、小さな政府と透明で自由な競争、プラス人的資源だと。そうなってくると、自由党の政策構想の中に、人的資源の話というは、もっと前面に出てきたほうがいいと思うんですね。実は、戦略会議で164の提言を出しているんですが、私自身は、その中で一番やったと思っているのは、教育バウチャーなんですね。これはB先生にもいろいろご相談したのですが、そういうのを、ちょっと前面に出してやりたいなと思うのです。

 

 

 

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