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C なまじ自自で入ってしまって責任を持ってしまうと、今度、何が何でも0.5%をやらなければならないほうになってしまうでしょう。もとから鈴木さんは、どちらかというと積極財政をやって、むしろ自民党よりもそこのところを強く押し出したというところはあるのかもわからないけど、ほんとうに、今、必要なのがそっちなのかなと思うのです。確かに、どちらが大事かといったら長期だと言われたわけだから、だったら、長期を現在に引き戻したときに、今、何をやっていくかとなると、景気をふかすことなのかなという気は若干しますけどね。

鈴木 ただね、ようやく決心して金融機関も大企業も、思い切ったリストラをこの決算でやろうとしているという意味では、Cさんがおっしゃるように、長期を見据えて、短期的には辛いことでも、今、やってしまえというところに来たんですよね。来ただけに、そこで悪材料を出尽くして持ち上げないことには、そこからのステップというのはないと思います。

D 全く専門ではない人間で、朝日新聞のDと申します。私はアジアが専門で、最近の日本の経済は疎いのですが、経済の分野だけど、きょう出ていない話は雇用だと思うんですね。失業率は横ばいで、今、おっしゃったように悪材料を出尽くすということで1〜3月を乗り切るというか、過ぎて4〜6月というときに、多分、失業率は上がると。長期的に、4とか5とか6とか、アメリカと逆転して悪化するという想定のもとで、どんなジョブ・セキュリティということを政策として……。多分、雇用対策よりもジョブをつくるというほうに重点があるとイメージするのですが。

鈴木 僕は、失業対策としては、失業保険の給付期間を延ばすぐらいの、ちょっとした手を打つ以外にもうないだろうなと思います。それよりも産業構造の転換、イノベーティブな新規分野を延ばす、あるいはそういう企業が出てくるということのほうに力を入れた政策をやっていれば、雇用も再編成される。こっちヘシフトしていくようになるだろうと思うんですね。冷たい言い方かもしれないけど、雇用対策そのものというのをどうこう突っつき回すのは、それは社会政策的にちょっと痛みを和らげる政策であって、根本的にその人たちの問題を解決するには、マクロ経済の、それもただマクロのパイを大きくするという話ではなくて、構造転換だと思うんですね。

B その辺、先生のおっしゃるとおりで、今、労働省は何回目かの雇用基本計画をつくろうとしているのですが、労働省は、全く考え方がついていけなくて、ものすごく悩んでいるんですね。というのは、これまでの雇用政策は、一言で言うと、日本にはしっかりした終身雇用を持った企業群があるから、これを限界的なところで支えるんだというのが、雇用政策のすべてだった。ところが本体のほうが崩れ始めている。特に、一番保護されていた金融が崩れていますから、全体が崩れるわけですね。

 

 

 

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