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C わかりますよ。だからね、その1つのキーワードは景気回復と行革なのでしょうが、景気回復というもののために相当なお金、30兆ぐらい使っているわけですよね。これは、言ってみれば緊急避難策を、景気を拡大したからって、すぐそんなお金は出てこないですよね。それを取ってしまったら、即、また今度、景気が失速するという強迫観念で、一種の囲いこまれるような政策の継続は、やっぱり。

鈴木 やっぱり長期も同時にやっていかないと、短期の政策も手を放したときに落ちてしまうんですね。長期をやっておけば、民需主導型のエンジンがかかってきて、手を放したときに自立的な民需主導の成長軌道に乗ってくるのでしょう。だから、長期は後回しというわけにはいかないわけで、長期のほうの規制緩和、サプライ・サイド強化策というのは、一緒にやってなければいけないと思います。だけど、今度の最高税率を65%から50%に下げたとか、法人実効税率を40%に下げたとかいうのは、目先は効かないけれども、景気が一たび上を向いたときに効いてくると思っています。それが、民需主導型の成長を支える1つの要素になるだろうなと。

C 確かに幾分かはなると思うのですが、今の景気の現状を考えていくと、支えるには、量的にかなり足らないですね。。

鈴木 今の景気の現状対策には効かないけれども、一たび上を向いたときに効いてくる。そういう手を打っているつもりなんですよ。

C というと、景気が回復局面になっていくと、自動的にそういう形でいい状況になっていったら、今度、こういうことをやろうという意欲というのは、果してそこから出てくるのかと。長期的な大きな改革というものに……、長期的な大きな改革というのは、既得権を放すことに対してみんな相当傷ついて、大きな調整をやらなきゃならないわけでしょう。それは、みんなが暮らしやすいときに、ほんとうにそういう、景気が回復すれば、すーっとそっちのほうに行けるのかどうかという、一種の、みんなが決断を……、我々はここまで来たのだから、もうこういうことをやらなきゃいけないということを決断できるような状況……。

鈴木 それは政治の主導性だと思いますが、中期と長期の改革は、この中・長期の政策手段は、言うまでもなく短期的にはデフレ的要素があるわけですね。だから、今、やりにくいということもあるんですよ。長期的に、成長促進的な手を打っているけれども、それは、短期的にはデフレ的にいくわけですね。規制緩和だって何だって。だけど上を向いてきたら、さあ、チャンスだ。今こそ改革だということです。

 

 

 

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