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なぜ1〜3月がもう1回マイナスかといえば、消費が線香花火みたいに11月に出ましたが、あれは一時的な消費性向の上昇であって、個人所得の減少傾向というのは全然直っていません。だから、再び消費はマイナスになるだろうと思います。もう1つは、さっき言いましたように、公共投資の増加を相殺する勢いで設備投資が落ちているということです。

3番目には、純輸出も動きが鈍ってきている。やっぱり円高の影響が出ているということです。以上3つの理由で、1〜3月は再びマイナス成長の可能性がある。

さらに、この年度末に、さっき言いましたように、金融機関はまなじり決してものすごい償却をします。そうすると、すごい不良債権償却をするということで、不良債権の相手側に企業がいるわけです。この企業に引導を渡すことになりますね。引導を渡すのは、3月には引導を渡さない。引当償却です、これは。4〜6月に引導を渡す。だから、4〜6月は相当倒産が出るのではないかというふうに思います。

それから、大企業で多少力があるところは、むだな設備を思い切ってこの3月決算で償却しようとしていますね。それはそれで結構。それから、人も整理しようと思っています。それはそれでミクロの経営としては結構なのですが、その結果、やはり4〜6月に失業増加という形で出てくると思います。ですから、私は堺屋さんは夜明け前が一番暗いという言葉が大好きなようですけど、その一番暗い夜明け前が4〜6月だと思っているのです。ここで悪材料が出尽くすような思い切った決算をやればやるほど、4〜6月が真っ暗になるだろうというふうに思います。

そのときに、悪材料が出尽くしたということで、足元の景気は真っ暗だけど株価が上がり出したら、これは見込みがあると思うのです。つまり、これだけ徹底した決算をしますと、だれが計算してみても、来年度は増益になるんですよ。最近ね、悲観的な見通しで、来年度はマイナス成長と言っている野村総研だって何だって、収益予想は増益と出しています。それは、落ちるところまで落ちてしまっているから、計算したら増益になってしまう。減収増益になってしまう。そういうところへ来ています。だから、もしそこに株価が注目すれば、株価が上がり始めるかもしれない。

しかし、逆に倒産増加、失業増加を見て、改めて今の不況の深刻さを見直すということになって株価が崩れてきたりしたら、これは4〜6月は夜明け前の暗さどころじゃない。ここからもう一発落ちてくるということになるかもしれない。そういう分岐点が4〜6月だというふうに思っています。

 

 

 

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