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それから、年末及び年度末の企業金融をうまく乗り越えるために、私ども自自で、信用保証協会の保証を拡充している。中小企業向けの保証を拡充し、資本金5億円未満の中堅企業に対する信用保証制度を新たに設けた。さらに、政府系金融機関の保証業務を拡大する等々、手を打ちました。

日銀は、御承知のとおり、年末と年度末を越えるため3つの手を打った。1つは、CPオペの条件を、今まで3か月以内のCPだけを買っていたのを、もっと長期の1年以内のCPを買う。それから2つ目は、民間銀行の貸出増加額の半分を、日銀が無条件でリファイナンスをしてやるということを始めました。3番目は、社債担保貸出を始めました。社債担保貸出というのは、社債は、日本銀行の基準で適格であれば担保にとると。これは、制度は前からあったのですが、ロットが小さいもので厄介であるというので、使ってなかったんですね。これを、まとめて使えるようにしてやると。この3つのやり方で、新しい日銀信用の供用を始めている。これは、やや専門的でみんな気がついてないんですね。これ、今、ものすごく効いているのです。これで大銀行の大企業向け貸し出しの促進等はできた。中堅と中小は、さっき言った信用保証。これだけ整ったものですから、年末も平穏だったし、多分、年度末も平穏に越すだろうと思います。

ただ、これはいずれも緊急避難の対策でして、4月以降に、日銀はこういうやや邪道な3つのやり方を打ち切ってしまうだろうと思います。それから信用保証の拡充も、図に乗ってやっていると大変な不良債権が出てくる。信用保証協会、今までの実績では、事故率はたったの1〜2%なんですね。今、ばんばんやっているやつが、「鈴木先生、3割は事故になります」と言うので、おい、おい、やめてくれと。もう少しちゃんと見ようよと言うのですが。そのぐらいずさんにやってますね。だからね、これもそんな長いことやってはいられない。

そういうことで、長期の対策のほうはこれからなんですが、短期、中期のところは、一応、手を打ったわけです。

しかし、これで大丈夫かというと、私はいろいろと心配をしておりまして、まず公共投資を増やしたというのですが、確かに16%の伸びというのは高いですが、この図表1をご覧いただくとおわかりのように、かつて92、93、94年、事業規模で60兆円というんですが、公共投資は相当伸びてますね。それなのに効かなかったというわけですよ、みんな。

 

 

 

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