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それから減税については、御承知のように9.4兆円……、ネット減税でいえば、去年、4兆円をやっていますが、5.4兆円の減税。中身は、御承知のように4兆円が所得・住民税減税で、これは最高税率を65%から50%に下げた。長年の懸案であったことをやった。それから、あとは定率的に下げていくだけで、去年4兆円、ことし4兆円ですから、ネット減税はゼロです。ただ最高税率を下げている関係で、標準所帯で800万円あたりを境にして、下が若干増税、上は減税になる。

それから法人税、実効税率を40%強に下げたことによって、2.3兆円の減税。それから自自連立になってから、あと3.1兆円、自由党がやろう、やろうと言って積み上げたわけです。その中身は、時限的な住宅投資促進・パソコンの即時償却・子育て支援等の政策減税であります。これ、9.4兆円でありますけれども、私は、この減税で一番大事なところは、やっぱりサプライ・サイドをねらっている減税だと思います。レーガンやサッチャーがやったのと同じように、勤労意欲、投資意欲をねらった4兆円と2.3兆円の減税。必ずしも短期の需要喚起だけを考えているのではなくて、サプライ・サイドも見ている減税だということです。

御承知のように、最高税率を下げろとか、法人実効税率を下げろというのは、もう10年以上前から言ってきたこと。ようやくそれが実現した。

もう1つは、時限的な投資促進減税が若干入っているというところですね。この2つを、私は評価しています。以上が短期に対する対策。

次に中期に対する対策は、御承知のように60兆円の枠組みが、ようやく夏の臨時国会で整った。これによって、今、金融の再編が急激に進み始めているということは御承知のとおりで、金融監督庁がえらいハッスルして、かなり厳しい資産査定と引当を企業に突きつけて、またリストラのあり方を突きつけて、それをきちっとやらなきゃ資本注入をしないとした。資本注入をしないということは、日債銀の例があるものですから、抵抗していると返す刀でばさっとやられるかもしれない。今、日債銀の後、大銀行の経営者をはじめとして銀行、金融機関の経営者は本気になって、どうやって自分のところは生き延びたらいいんだろうということを考えているところです。これが、3月末に結論が出て、巨額の不良債権引当処理と、抜本的なリストラ計画が出てくると思います。逆に、それがやれないところには引導を渡すことになるだろうと思います。

 

 

 

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