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複々線化

混雑緩和の根本的な解決策は、現在の複線の区間にさらに複線の線路を増設する複々線化である。東京周辺の私鉄の路線では、各駅停車の普通列車と主要駅だけ停車する急行列車を運行している。そのために、普通列車と急行列車の線路を分けることによって、スピードアップとラッシュの緩和を実施することができる。東武、西武、小田急、京王、東急の5社が、別掲の特定都市鉄道整備積立金制度を利用して、都心に近い区間の複線化と大規模改良を進めている。

 

特定都市鉄道整備積立金制度

都市鉄道の新線建設、複々線化、大規模改良工事に関する制度である。事業者が、運賃に工事費の一部を上乗せして、利子のかからない資金を調達できるというものである。運輸省が運賃改定(値上げ)のときに、認可をおこなうが、その際に公正報酬率(フェアリターン)の限度を超えた値上げを認めるのである。その増収分については、税金のかからない内部留保となる。積み立ての限度額は、運輸省に認定された工事費の50%までである。しかし、現在この制度を利用している5社では、1〜9%である。1986年に制度が導入され、いくつかの線区がすでに完成している。京王は、全計画を終了したため、1997年の運賃改定では上乗せ分を値下げしている。

 

 

 

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