日本財団 図書館


オフピーク通勤

通勤・通学輸送における混雑は、朝の8時〜9時に集中している。ほとんどの会社が9時、学校が8時30分に始業しているからである。鉄道事業者と運輸省では、フレックスタイムの導入や始業時間をずらす、オフピーク通勤の実施を提案してきた。しかし、「横並び」意識の強い日本の社会では、この提案はまったく受け入れられなかった。取引先との関係が重視されているので、役所や大手の会社が率先して買えない限りは、オフピーク通勤は実現しない。そのため、東京圏では鉄道事業者であるJR東日本が、1997年に新宿に本社を移転した際に、自ら始業時間を9時20分にずらさなくてはならなかった。

 

通勤・通学混雑の緩和

日本の大都市における通勤・通学輸送での混雑は、非常に激しい。日本では混雑率、という指標がある。鉄道やバスの座席定員と立ち席定員を合計したものと、実際の乗車人数の比率をいう。100%が定員乗車で、150%(肩がふれあう程度)、180%(身体がふれあう)、200%(相当な圧迫を受ける)、250%(身動きができない)と区分されている。東京の鉄道では、1996年で200%の混雑となっていて、当面は180%への混雑率の緩和が目標となっている。長期的には150%が目標とされている。すでに1961年から、東京、名古屋、大阪の各都市圏で、輸送力の増強が図られており、現在もまだ続けられている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION