日本財団 図書館


首都圏空港調査の推進

東京国際空港(羽田空港)の沖合展開事業と新東京国際空港(成田空港)の完全空港化が完成したとしても、21世紀の早い段階で、首都圏(東京都市圏)の空港容量は不足すると予測されている。対策として、羽田空港の再拡張や既存空港の活用および内陸部における新空港の建設などの可能性が検討されたが、騒音環境問題などの理由によりいずれも事業性がないと判断された。この結果を受けて、1996年より海上を中心として新空港(首都圏第三空港)の建設の可能性が調査されている。また、1996年3月より「首都圏の空港に関する意見交換会」が設けられ、自治体レベルでのコンセンサス形成が進められている。同委員会に参加しているのは、運輸省、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市である。

 

空港への鉄道の乗り入れ

日本の空港アクセス整備は必要最小限のものを間に合わせ程度に揃えてきたに過ぎないといえよう。航空輸送黎明期には、航空サービス利用者も少なく、それゆえアクセス手段も鉄軌道よりもより小容量のものが整備された。東京国際空港(羽田空港)がその典型であり、国鉄系の東京モノレールのみがアクセスサービスを供給してきた。国際空港を運営する運輸省が国鉄を優遇したことも、民鉄による空港アクセス・サービスの供給を遅らせる要因となった。近年、航空需要の急激な伸びと相俟って、鉄軌道による高速大量輸送アクセス手段の必要性が広く認識されるようになった。典型的な成功例として、関西国際空港には開港と同時にJR西日本と南海電鉄によるアクセス鉄道サービスが開始されたことが挙げられる。また、既存空港に対する鉄道アクセス整備も進んでいる。例としては、1992年の新千歳空港のターミナルヘのJR北海道の乗り入れ、1998年末の京浜急行電鉄の羽田空港乗り入れなどが挙げられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION