<スライド>
これは森の活動ですね。本当に市民の手作業で、本来山林所有者がやるべき下草刈りや枝打ちなどをやっています。ここでも捕れた生き物たちを見せたりして、子供たちにも受けています。
<OHP>
最後、またOHPで失礼します。このように金沢の自然というのは、野島という島を中心に大きな、といってもたかだか3キロぐらいしかない川が二つ流れていて、金沢湾を通じて東京湾に面していますが、ここにこれだけいろいろな市民団体がフィールドを構えて活動しています。海辺では私たちの「海をつくる会」、その他川の会、森の会、鳥の会といろいろいるわけです。
こういう人たちと一緒に、ここの自然の復元を考えています。そこで合意が得られているのが、かつての原風景です。この周辺は金沢八景ということで、風光明媚な海辺の風景が八つの浮世絵になっていまも残されています。そのうち平潟湾は平潟落雁として描かれています。雁というのもいま絶滅危機の鳥ですが、それが餌を取るために舞い降りてきていたかつての平潟湾を復元したい。
そこには本当に素晴らしい要素が全部描き込まれていて、まず人々が潮干狩りをしています。海の幸を取っている。周りには松林、その前にヨシ原がある。こういった本来の生態系を復元したいという提案が、いろいろな市民の共感を得ています。
そこで、いま失われてしまってまず第1に復元したいのが、このソルトマーシュというヨシ原とか、海水が入り混じるようなところに生える草むらです。こういったところは、いろいろな生き物の住みかになります。ヨシ自身も水質を浄化する高い能力があることが、現在わかっています。こんなヨシ原の造成を市民のネットワークでやっています。
ここで植えたヨシというのは、東京湾のラムサール登録湿地になった谷津干潟からわざわざ持ってきました。やはりよそのものは持ってきたくない。東京湾の中の特に潮に強いヨシということで、象徴的に持ってきました。いま残されているヨシ原のところに植えて、ヨシ原を広げるようなかたちです。
それから、もう泥が流出してヨシ原なくなってしまったところに、再びヤシガラ繊維でつくられたロールで土留めをして、地盤をまた高くして、ここに植えつけるというようなこともやっています。この繊維は生分解性のものなので、ヨシが根付くまでの間頑張ってくれればいいわけで、あとは自然に返っていくということです。こんなことをいまやっています。