この人工海浜、三番瀬の埋め立ての問題でも、三番瀬はこのように残っているのですけれども、埋め立てはするが人工海浜をつくるから影響は少ないという、非常に免罪符的な使われ方をしています。しかし最近、環境庁の姿勢が非常にしっかりと固まってきた。人工海浜も埋め立てであり、環境を破壊するものでいけないとはっきり言っています。
三番瀬の計画は、この当時は 740ヘクタールというすごく大きな計画だったのですが、船橋側はほとんど全部なくし10ヘクタールぐらい、こっち側も当初計画の7分の1ぐらいまでに埋立地面積を減らしています。しかし、この人工海浜部分は譲っていなくて、この計画とほぼ同規模のものがまだ営々と残っています。
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これが千葉の幕張、稲毛、検見川と三つ並ぶ人工海浜地帯の現状ですが、非常に砂の侵食が著しい。砂がどんどん持っていかれてしまいます。ここは海水浴場になっていまして、毎年夏前、海水浴場をオープンする前になると大量の砂を投入し、何とか現状のかたちを維持しています。そんなことでいま維持管理に膨大なお金がかかってしまっている。
こういういろいろな問題を抱える人工海浜の中で唯一、成功例とされているのが横浜の海の公園です。現状、砂は持っていかれていません。非常に良好にかたちが残されているというので、これはいいとされていますが、やはり人間のつくったものというのはなかなかいろいろな問題が出てくる。緑色のアオサという海藻が異常繁殖してしまっています。
このように渚に何メートルも堆積してしまい、腐るわけです。すごい異臭がしますし、ヌルヌルして気持ち悪く、海水浴客もなかなか水に入りたがらない。それでも海水浴シーズンは一生懸命片付けているのですが、オフシーズンになると放置されて腐るがままの状態になっています。
片付けるといっても、結局はこのようにかき集めて、山盛りにして、水分を抜いて燃やしてしまうんです。家庭の一般ゴミと一緒に焼却場で燃やしているだけです。しかし、こんな状況ですから砂もまぶされて一緒に運ぶ。それから、塩分が多いので炉を傷めるということで、焼却場側からもやめてくれと嫌がられている。
また、運搬代もばかになりません。トラック運搬代と、かき集める人件費だけで毎年2000万円ぐらいかかってしまう。わずか1キロ足らずの浜を維持するだけです。こんなばかな税金の使われ方はない。毎年これだけ使われて、かたちが何もあとに残らないわけですから、批判が多い。