日本財団 図書館


それからサツキマスというマスです。サケ、マスが海と川を往復するのは有名ですが、そういったものにああいう人工的に生き物の行き来を遮断するようなものをつくると影響が出てしまうということで、問題になっています。

それから海はずっとつながっているので、南のほうからこんなきれいな熱帯魚が流れてくることもよくあります。これは全然珍しいことではなく、毎年夏から秋の水温が温かい時期にはやってきます。これはアケボノチョウチョウウオというもので、これが毎年出てくる。これは本当に珍しい熱帯魚で、ニセクラカオスズメダイという長い名前の魚ですが、去年の秋に初めて、横浜の中心街を流れる川の河口から2キロぐらい上がったところで発見されました。

後ろに写っているのは捨てられた自転車のスポークですが、ある自転車を住みかにして、そこからずっと離れませんでした。でも水温が下がってしまうと、これらは冬を越せません。死んでしまいます。そういった魚は冬を越せずに死んでしまう回遊魚ということで、死滅回遊魚と呼ばれています。これはレジュメにも書いてあります。

そんな南からの使者が来るかと思えば、北からの使者も来ます。これまた山下公園の海の中で撮影された魚で、クロソイという魚です。最近グルメツアーなどで北のほうに行って、カニを食べるとか、ソイを食べるということで、北のほうの海では非常に有名なグルメ魚です。こんなものも東京湾に現れたりします。

<スライド>

そうかと思えば、沖合からも珍客がやってきます。これは見たとおりヒレの長いトビウオです。トビウオと一口に行っても10種類以上のトビウオ、まあ稚魚で、これもせいぜい3センチぐらいしか大きさがありませんが、そんなものが流れによって偶発的に東京湾の中に入り込んでしまう。トビウオも東京湾に入ってしまうとさすがに一生は全うできないようで、上から鳥などにも食べられたりして、小さいうちにいなくなってしまいますが、こんな魚も出ます。

それから、私自身も驚いたのですが、これはカジキです。バショウカジキです。カジキの子供を横浜の海で捕ってしまい、新聞ネタにもなりましたが、やはり大きさが3.5センチしかないミニサイズです。こんなのも東京湾の珍客の一人です。こんなところを見ると、本当に海は一つなんだなと思います。南の海、北の海、沖合、いろいろなところからいろいろな生き物がやってきます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION