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これは赤潮の写真です。見てのとおりまっかっか。トマトジュースみたいな色です。これは夜光虫です。こんな赤潮が出ているとき、夜海辺に行くと蛍のような青白い光が波に打ち寄せられて光る。典型的な赤潮です。でも、こんなまっかっかの赤潮は、東京湾ではむしろ少ないです。
だいたい多いのは、次にお見せするような茶褐色、コーヒーのようだったり、味噌汁のような色です。こんないろいろな色の赤潮があるということは、発生しているプランクトンが違うということです。この色の赤潮は渦鞭毛藻という植物プランクトンの仲間です。
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これが千葉県でよく起こる青潮の海です。バスクリンを流したような人工的な青白さ、そんな無気味な色をしています。しかし、いまお見せした植物プランクトンによって色がついた現象ではなく、これは海水の中に硫黄の細かい粒子が浮遊しているためにこんな色に見えているわけです。
そんなときの海底は、白いカビのようなものがよく見られます。見るからに海底が死んでしまっているという感じですが、これは硫黄細菌というものが繁殖している状況です。白い毛のような、カビのようなものは、硫黄の分子そのものです。酸素が少ない状況下ではこんな海底になってしまい、生き物たちも生活しづらい状況です。
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しかし、こんな海は水深5メートルより深いところです。浅いところは夏場でも酸素がなくならないし、生き物たちのパラダイスです。この広々とした砂浜の光景、東京湾の一番奥にまだこんなところがある。ここが三番瀬です。潮干狩りの人もいますし、沖ではノリヒビが立ったりしています。
こんなところで、なぜ夏場も生き物がいっぱい暮らせるのか。生き物自身が環境を浄化している部分もおおいにあります。例えば浅い岸壁で、ここの船の船体にも生き物がついています。ユウレイボヤというホヤです。ホヤはわかりますね。お酒のつまみでお好きな方も多いのではないかと思います。このように二つの口を持っていて、片方の口から海水を吸い込み、片方から吐く。その過程でこういう粒子状の浮遊した汚れ、彼らにとっては栄養なのですが、それを取り込んできれいにして出す。生きながらにして浄水器のような役割を果たしてくれている生き物です。
こんなものや、あとフジツボです。磯などに行くとよく見られますが、このへんの岸壁にもいっぱいいます。このフジツボは、潮が引いたときには富士山型の三角形の格好をして、生きているのか死んでいるのかわからないような生き物ですが、水の中ではこんな熊手のような手をパッパッと動かして、おいでおいでをするようにして、いろいろなプランクトンや有機物を掻き取って食べてくれます。