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鳥だけではありません。海の中では魚たちがこれらの動物を餌にして、もっと深い沖へ出る。大きくなったらそれらは漁業によって捕れ、人間が食べられる資源に姿を変えるわけです。

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これをさらに模式的に示すとこんなところです。干潟の機能は、ここに示されたようにまず水を浄化する。これが非常に大きいです。いろいろな微生物たちの働きで、水質を浄化してくれます。生き物がそこで生産される。増える。魚たちが育って大きくなっていき、水産業に貢献する。そして、生き物が住める。鳥がやって来て、餌を食べる。人間側にとってもバードウオッチングや潮干狩り、アメニティですね。最近非常に価値が高いと見なされている、お金には替え難いような親水機能、こういったいろいろな機能をもっている大変かけがえのない、しかし一度壊したらなかなか容易には復旧できない、そういった場所です。

日本の干潟がなくなるというのは、いまや国際問題です。どうして国際問題になってしまうかというと、国々の間を渡り歩く鳥たち、有名なところではラムサール条約という条約があります。日本でもいくつかの湿地登録がなされていて、東京湾では谷津干潟というところがラムサール登録湿地になっています。

これは、渡り鳥たちを守るためには1国ではもうだめです。鳥の中には北はロシアから日本を経由し、南はオーストラリア、ニュージーランドまで渡っていく。こんなダイナミックな、地球を股に架けた動きをするものもあるわけですから、たとえ1国でも抜けがけして、日本が湿地を全部壊してしまったとすると、これらの鳥たちの行き来ができなくなる。

鳥を本当に守りたいオーストラリアの人々もそれが実現できなくなるということで、国際的な条約でいま鳥たちを守るために湿地を保全しようと、日本も調印しています。国際的には湿地、干潟を守る義務が日本にはあると言えます。

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さて、私は東京湾に長らく潜っているダイバーでもあるわけですが、海に潜るという話をすると「何メートルぐらいまで深く潜るのですか」と、よく聞かれます。私はせいぜい10メートルより浅い海しか潜りません。そんなところが実は東京湾では一番面白い海なんです。

 

 

 

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