実際には、もう何十億という数を超えるような単位で海中にゴミが漂っている。だから、拾うということはお気づきの点ではとても有効ですが、拾うだけでは根本的な解決にはならない。
やはりゴミは出てきたものをどうするかではなく、出さないようにすることが一番の解決だと思っています。そのために、ゴミの持っているいろいろな面を皆さんにお伝えしたくて、こういう講演をさせていただいたり、さっき見ていただいたようなものが実はパネルになっていまして、小学校や市民グループの方たちに無料で貸し出したりしています。
スライドはこれで終わりですので、最後にまとめの話をさせていただきます。いま日本ではだいたい150〜200ぐらいの場所で、この活動の趣旨に賛同して、自分の好きな海岸や河川敷、町の中でもどこでもいいのですが、自分の住んでいる場所で好きな場所を、同じやり方で調べながら拾ってくださっている仲間がいます。それぞれの場所で何人でもいいのですが、集まった人数でゴミを調べながら拾って、期日までにその結果が私たちのところへ送られてきます。
われわれの事務局ではそのデータをパソコンで入力して、海域別にまとめたものを1カ月後ぐらい、今年でいうと12月1日までにアメリカの海洋自然保護センターというところに報告します。それが1年かけて分析されて、こんなに厚いワールドレポートというレポートになります。
日本の私たちがやっているちっぽけな運動とは違って、アメリカの活動は非常に大きな力を持っています。それは社会的な背景とか、ボランティアの力の大きさとか、いろいろなことがあり、お国がらが違うので一気にはまねできないのですが、アメリカの場合はそこの海洋自然保護センターのスタッフが毎年、議会、キャピトルヒルで結果の発表と政策提言をします。
世界の70カ国から参加した、昨年の実績で言うと35万人ぐらいのボランティアが、数えて調べるゴミ拾いに参加しています。その35万人分のデータを分析して、その結果ゴミをもとから出さなくするための提言をセンターがつくります。そして、提言とともに上院と下院の議員の前で、センターのNGOの代表が証言します。
実際、アメリカでは海を守るための法律の制定や、特定の業者などによる悪質な不法投棄にストップがかかったり、条例をつくることが促進されたり、いろいろ社会的な効果を生んでいるそうです。