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これはクロアシアホウドリという鳥です。やはり水面に浮かんだゴミをちょうどこの上のほうにくわえています。先日のTBSテレビ『神々の詩』というテレビ番組をご覧になった方はいらっしゃいますか。ミッドウェーという、コアホウドリというアホウドリの仲間の楽園になっている島なのですが、そこでもアホウドリたちがプラスチックを間違えて食べているという、かなりショッキングな映像が紹介されていました。

これがそのコアホウドリですが、こっち側がヒナです。これがお母さんです。人間も赤ちゃんを育てているときは、お母さんは子供のために一生懸命に栄養を取っていいおっぱいが出るようにしますが、鳥も一緒です。子育てをしているときは、ふだんよりも本来の餌でないものを誤って取り込むことが増えるというのが明らかになっていて、1回自分で飲み込んだものを吐き出してヒナに与えたりするそうです。

これは吐き出しているのですが、こうやって親鳥が与えようとするものの中に様々なプラスチックのものが含まれていて、さっき申し上げたTBSの番組では、プラスチックのペットボトルのふたをヒナ鳥が飲み込んでいる写真などが出ていました。ヒナ鳥はまだ体が未成熟ですから、成鳥に比べるとやはり異物を飲み込んだときのダメージが大きいそうです。

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これも鳥ですが、ちょっと気持ち悪い写真ですみません。鳥の砂嚢を開いたところです。焼き鳥でいう砂肝というやつです。鳥の仲間は消化器官にこの砂嚢があって、小石や貝殻など固い、餌ではないものをわざと飲み込んで、その小石をこの砂嚢で擦り合わせることによって消化を助けるという機能を持っているそうです。

このイクラみたいに見える粒々はレジンペレットと呼ばれている、プラスチック製品をつくるときの中間材料です。原油を精製してナフサという状態にして、それからさらにこういう小さい粒にします。この小さい粒々に色をつけたり、いろいろな添加剤を加えて整形加工して、様々なプラスチック製品をつくるための材料です。

材料ですから、故意に捨てるわけではないのですが、非常に小さくて軽い。形状が魚の卵やプランクトンによく似ているために、プランクトンなどを食べる魚類や鳥類が誤って食べてしまうことがたくさん報告されています。

このレジンペレット、わざと捨てられているのではありませんけれど、小さくてこぼれ落ちやすいために、いま世界中の海岸で見つかっています。日本の海岸でもほとんど落ちていないところはないぐらいです。特に首都圏に近い湘南海岸や千葉の海岸、それから瀬戸内海などにはたくさん落ちています。多いところでは、1平方メートルに数千個というオーダーで落ちているところがあります。

 

 

 

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