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でも、ゴミが絡まって迷惑なのは生き物だけではありません。この小さな船のスクリューのところに、いまのペリカンと同じように釣り糸が絡んでいる写真をお見せしていますが、このように船舶がゴミによって被害を受けることも珍しくありません。
例えば海面に漂うポリ袋などを船のエンジンが吸い込んでしまって、そのためにエンジンが焼きつきを起こすようなトラブルや、海底に沈んだゴミによって、ダイバーや、海で貝などを採る海女の方などが命の危険を感じるほどの事故が実際に起きています。
何年か前にも、沖縄で潜水訓練中の自衛官が海底に沈んだゴミが絡んで、そのときの詳しい状況はちょっとわからないのですが、多分タンクのエアが切れてしまったのでしょう、海中に沈んだゴミのために亡くなるといった事故も実際に起きています。
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これは死んで打ち上げられたウミガメの胃の中から出てきたプラスチックの破片です。さっき湘南で拾ったプラスチックのゴミを見ていただきましたので、こういうものが海にたくさん落ちているということは、皆さんもわかってくださったと思いますが、このときのウミガメの体重は5キロであまり大きくないカメです。計測したら、プラスチックの破片が1キロあったそうです。
1個1個のプラスチックの破片が毒なわけではないですが、長年の間、誤ってこういうものを取り込むと、プラスチックの場合はほとんど消化しないし、排泄もしにくいそうです。長い間にわたって間違えて飲み込むと、それがおなかの中にだんだんたまっていってしまいます。このカメの場合、ゴミのために満腹状態にあって、自然に餌が取れなくなって衰弱死したと推測されています。
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これも死んで打ち上げられたイルカですが、ここの部分をご覧ください。ポリ袋やビニールシートの破片がビッシリ詰まっていました。
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これは、水面に浮かんだタバコのフィルターをついばもうとしている鳥の写真です。私たちはおよそ100項目のゴミを材質別に分類しながら個数で数える方式で調査をしています。それは日本だけではなく、いま世界70カ国で同時に行われていますが、毎年集計すると単独でトップになるのがこのタバコのフィルターです。タバコのフィルターも化学繊維のものが一般的ですので、なかなか自然には返らないものです。