まだまだその研究は始まったばかりです。これから何年先にどういう被害が出てくるかということは、今後の研究を待たないとはっきりしたことは言えませんが、絶対大丈夫、全く問題ないということはあり得ません。いまここにいる私たちが生きている間は目に見える被害はないかもしれませんが、食物連鎖のことを考えれば、そういうものを知らず知らずに飲み込んでいる鳥や魚がたくさんいます。
日本人は魚食民族ですから魚をたくさん食べます。いま食べた1匹の魚が猛毒なわけではないけれど、何世代にもわたってそういった有害物質を取り込んで高濃度に蓄積されていくものを、いつか私たちも食べるわけです。落ちているゴミが汚いからといって、それを見た人間が具合が悪くなることはないですが、食べ物の中から出てくる毒は、長い間にわたって必ず健康に悪影響が出るでしょう。
そういったことも考えないといけません。見た目に汚いというだけではなく、ゴミがもたらす悪影響というのは、海の粒子が10年ごとにオーダーが変わるほど数が増えているということからも、もっともっと急速に深刻化していくのではないか。このことをとても心配しています。
このほかに、スライドが直ればすぐお見せできるのですが、野生の生き物にとって、食べ物と間違えて取り込んでしまう誤食という被害があります。これはまさにいま申し上げた食物連鎖と関係がありまして、いろいろな生き物が実際に餌と間違えて、あるいは何らかの偶然で、本来の食べ物ではないものを飲み込んでしまっています。
そのために命を落としている生き物もたくさんいますけれども、何年、何十年、あるいは何百年という長いスパンで考えたとき、ふだん買っている、安全と思っているものを食べている私たち人間にも、絶対影響がないということは言えない。それぐらい怖い時代になっています。
スライドはいかがでしょうか。直ったそうです。言葉で説明するよりも、見ていただくのが一番わかりやすいので。
<スライド>
先ほどの続きです。これが日本でもたくさん被害があると申し上げました、釣り糸による鳥の被害です。ここに写っている鳥はペリカンですが、皆さんから見ると右手のところにたくさんの釣り糸が引っ掛かっていることがわかると思います。