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これで3万3000個ぐらいありますから、49万個、これは本当に研究室の方が数えたもので、気が遠くなるような話なのですが、北海道だけではなく、小笠原とか沖縄の宮古島などプラスチックの生産をしていないようなところでも調査されています。

過去の文献やいろいろなデータを総合して考え合わせると、日本周辺の海で、1970年代は1平方キロあたりのプラスチックのゴミの数は数千個というオーダーでした。それが80年代に入ると数万個から数十万個、さらに90年代では数十万から数百万個というオーダーになっているそうです。10年刻みで一つずつゼロが増えていっています。

ここで恐ろしいのは、プラスチックが自然に返らないということは、減ることがないということです。私たちの暮らしから流れ出したゴミが川から流れて、最終的に海がゴミ箱のような状態になっている。それが自然の素材のゴミであれば、時間が経てば自然の浄化作用でまた自然の系の中に戻っていきますが、プラスチック製品というのは数百年経っても分解しません。

ですから、捨てられたときは1個だったゴミが、波に弄ばれて、風に吹かれているうちにどんどん劣化して細かくなって、1個だったゴミが数百、数千にバラバラになっていく。見えないほど小さくなってもなくなることはない。そしてたまり続けていく。これが海のゴミの現実です。

近年非常に心配されている環境ホルモンの問題を思い出していただくと、海にたまり続けるプラスチックがどんなに怖いかというのがおわかりいただけると思います。私は何もプラスチックを直接目の敵にして、プラスチックを使うことがいけないというのではないのですが、いままで便利さを享受するあまり、捨てられた先のことをあまりにも考えてこなかった。

非常に安いために安易に使い捨てされて、結果的にきちんと回収したり、リサイクルされないで、自然の中に放置されてしまっているゴミが増え続けています。

プラスチックそのものは無害ですが、製品にするときにほかの化学物質を添加します。その中にはPCBとかダイオキシンのような猛毒のもの以外にも、人体、生命体にとって有害なものがたくさんあるそうです。粒子状になって海の中を漂うプラスチックのゴミから、そういう有害物質が全く溶けて流れないという保証はない。実際に、海から拾われたプラスチック粒子の中から有害なものがたくさん検出されています。

 

 

 

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