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それから、外に行くときは家庭でこのリングをはずし、きちんと家庭内で処理してから行きましょうとか、捨てるときにはリングとリングの間にハサミを入れて、輪っか状にならないように捨てましょうといった注意書きが出されたりしています。

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もう少し特殊なゴミの例です。海に捨てられているゴミの中には漁業関係のゴミもたくさんあります。漁網に代表されるような漁具は、人間が工夫して魚を捕るために考えた道具ですから、もともといろいろなものが引っ掛かりやすくつくられています。中でもこの網というのは、一網打尽という言葉があるとおり、たくさんの魚を捕るための道具です。昔の漁網は天然の繊維でつくられていました。

ですから、破けた漁網を漁師さんが捨ててしまったり、何らかの事故で網が流出するようなことがあっても、じきに腐ってばらばらになりました。でも、いまの漁網はナイロンなどの化学繊維でできています。ですから、何らかの理由で流出した漁網は、破けたままいつまでも海の中を漂ってしまい、その結果、いろいろな動物に絡んでしまいます。

ここでお見せしているのは、アラスカのプリビロフ島というところで撮影した、北オットセイの子供の写真です。首のところに破けた漁網の切れ端がかなり食い込んでいます。アザラシやオットセイの仲間は大変好奇心が強いそうです。特に若い個体、若いオスほど好奇心が強くて行動力も旺盛なために、たくさんこういった絡まりの被害に遭ってしまいます。

見慣れないものがあるとわざわざ近付いて、そこに首や鼻先を突っ込んだり、海にこういったものが浮かんでいると、浮かんだ下が暗く陰になって、その陰の部分に彼らの餌となる魚が群れたりするそうです。その魚を食べようと思って近くを泳いだりする。そうした結果、体に引っ掛かってしまうことがあるそうです。

これもかなり首のところに食い込んでいるのがおわかりかと思いますが、さっきのリングのお魚と同じように、この子供のオットセイはだんだん成長しますけれども、ゴミが一緒に大きくなるわけではありません。結果的に首が締まる状態になったり、こういうものをくっつけて動き回ると、そこがこすれて外傷ができ、そこから何らかの感染症を起こすとか、動きが相当阻害されるということもあって、自然の中で生きるときには大変なハンディになります。

 

 

 

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