そのプラスチックの安定性のよさが、ゴミになって自然の中に流れ出したときにかえってあだになってしまいます。安定性のよさ、腐らないということがいろいろな悪さをしているのです。
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これは誰かが捨てて木の枝に引っ掛かっている、シックスパックリングというプラスチックのリングです。缶に入って売られているビールとか清涼飲料水をディスカウントストアなどで売っていますが、6本ずつそういう缶入り飲料を束ねてある非常に丈夫なプラスチックのリングです。こういったものは日本でも最近非常に多く見られますが、アメリカではもっと以前からたくさん使い捨てにされています。
夏のレジャーで水辺に行くときに喉が乾きますので、皆さん飲み物を持って行きますけれど、昔のように水筒持参ということはとても少なくなりました。手軽に缶入り飲料やペットボトルに入ったものを買って、クーラーボックスに入れて持っていくのですが、飲むときには邪魔になりますからはずします。
それを持って帰ってきちんと捨てれば、さほど問題にはなりませんけれども、そのへんに無造作に捨ててしまう人がいる。これは木の枝に引っ掛かっていますから、気がついた方が片付けることができますが、そうではない場合もあります。
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これは種類はわからないのですが、ある海鳥がいまと同じリングを頭のところにくっつけて引っ掛かったまま動いています。
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これも同じシックスパックリングの被害にあった魚です。フナやコイの仲間だと思いますが、水の中に捨てられたシックスパックがプカプカ浮かんでいて、泳いでいて偶然に体がそこにスポッとはまってしまい、抜け出ることができないままゴミによって体が切れてしまったという例です。
このリングがもし紙などでできていれば、すぐにバラバラになりますから、こういった体が切れるようなことにはならないと思いますが、缶入り飲料を6本束ねて、そのまま持ち上げられるような強くて丈夫なプラスチックの輪ですので、こういうことになってしまいました。
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これも同じリングの被害に遭った鳥です。カナダ雁という渡り鳥ですが、首のところにそれが引っ掛かって見つかりました。これの被害が多いのは、アメリカの場合、このリングの普及率が非常に大きくたくさん使われていて、結果としてポイ捨てされることも多いために、こういったことがたくさん報告されています。ちなみにいまアメリカでは、このシックスパックリングをつくっている大手のメーカーが、自然に分解する素材のリングを販売することになっています。