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これも同じようにアメリカの海岸の砂浜の風景ですが、いま続けて見ていただいた2枚の写真は、実は無人島で写したものだそうです。誰も住んでいない、遊びに来る人もいない、そういう島の海岸もわれわれの生活から出たゴミで汚されている。先ほど海のゴミはどこから来ているのかということを投げかけましたけれども、無人島のゴミの写真を見れば明らかなように、海岸に来た人だけがゴミを捨てているわけではないということがよくわかると思います。

さっき言ったように、川などの水路を通じて陸から流れ込むゴミが6〜8割にのぼるという調査結果が出ています。そのほかにも、船から捨てられるゴミ、無人島に落ちているようにある国から流れ出して波に乗り、ほかの海岸にお邪魔してそこを汚しているゴミがあり、一口に海岸のゴミといってもいろいろな由来を持っています。

ではいったい海のゴミの何がそんなに問題なのか。見てわかるとおり、汚い。汚い海岸には人が行かないということで、経済的効果ということを非常に問題にしている経済学者もいます。そのほかに、片付けるのに大変な人手とお金がかかる。こういったことは私たちの都合から考えるとすぐわかることですが、実はもう一つ、ふだんの私たちの目には触れにくいところで、海のゴミがほかの生き物にたくさん迷惑をかけているという現実があります。

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このようにたくさんのゴミがいろいろなところから出てきて、捨てられて、流れ着いているのですが、私たちの暮らしからゴミが出るのは何も最近急に始まったことではありません。昔から必ずゴミというものは出てしまっていました。でも現代になって変わったことが二つあります。その一つは、大量消費と大量廃棄の生活によってゴミの量がすごく増えてしまったということ。もう一つはゴミの材質です。

昔のゴミは、時間が経てば自然に戻る、いわゆる腐るゴミがほとんどでした。木や紙、布、金属、石などのゴミだったのです。でも最近のものは、ここで目を凝らしていただくとわかると思いますが、石油製品がとても多いんです。いわゆるプラスチックです。プラスチックは加工がしやすいし、品質が非常に安定していますので、わずか30年、40年の間に私たちの生活にとって、なくてはならないものになりました。

 

 

 

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