実はアメリカ大陸元々は原地人のものでした。それをコロンブスの大陸発見以降略奪につぐ略奪で土地は欧州人のものになりました。その結果、個人所有(プライベート)の海岸が多く存在しました。サンフランシスコ湾岸も例外ではありませんでした。その為一般人の湾岸への接近もままなりませんでした。その結果無秩序な埋め立てが進行しました。
1965年湾を守る法律が成立すると、水際100フィートはパブリックビーチと定め、湾岸住民の湾への接近を保証することになりました。埋め立ても湾に有害として原則禁止となりました。人々の湾への接近を容易にするために油タンク等の建造物は、海岸線に対して直角に土地を取りなさいということを言っています。それから、桟橋をつくるときにはT字型に出しなさい。そうすればT字型の根本まで人が接近できる。これを海岸のプロムナードと言っていますが、散歩したり、ジョギングしたりする。
そうすると、どういうことがあるかというと皆、海を見ていますから、船に乗る人も出てきます。港湾業務をやりたいという少年も出てきます。海の仕事をよく理解します。そういうことにつながる。もう一つ、海をきれいにしなければという運動も展開します。
三番瀬を例に取りますと、この間まで保全、保全、保全と言って、ようやく保全されることになりました。これは千葉県知事もすごく偉かった。三番瀬は埋め立てが決まっているんです。昭和48年に決まりました。ですから、もう二十数年が経っています。それがオイルショックと、今回の土地神話の崩壊によって、埋め立てしても採算が合わないという背景もあります。多くの人の、やはり地球環境が大事だという国際的な世論もありました。
また知事も、6億円という金をかけて環境調査をずっとやってきました。そうすると、先ほど言った食循環とか、酸素の供給ということがやはり大事です。三番瀬がなくなると、東京湾全体の生態系も死んでしまいますから、われわれの住環境としても適当でなくなります。そういう中で残すことになりました。それはやはり時代の流れです。
そこで、ではこれから皆さん、あるいは私たちはどうしていこうかということになります。サンフランシスコ湾では、次代に引き継ぐために、かけがえのない天然資源という位置付けをしました。
これは、例えば今日いろいろお仕事をやっています。不動産をやっている人もいるかもしれない。不動産屋をやっている方たちは、安くて適当な土地が正義です。お客さんに安い土地、いい土地を供給する。それには、空いている土地がたくさんあったほうが正義です。私は漁師ですから、魚がいるのが正義です。それは埋め立てという話になると真正面からぶつかります。