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これはちょっとわかりづらいスライドですが、ここに溝を切ってあってこの中をウインチでもってドリルを下げていってボーリングを行う。1回当たり1メートルとかそれぐらいのコアを採ってきて、それを絶えず繰し深く掘る。単調でつらいけれども深く掘れば掘るほど昔の20万年、30万年のコアが採れる。それを分析すれば昔のことがわかるということで掘り進めるわけです。

<スライド>

先ほど話に出たバード基地はマリーバードランドというところにアメリカが作った基地で、いまは越冬基地ではなくて閉鎖されていますが、そこで掘りました。それからボストーク基地は78°S、108°Eあたりにあるのですが、ここでソ連が掘りました。ボストーク基地のあたりは最近になって、氷床下に比較的大きな湖があるらしいということがわかってきたおもしろい場所ですが、ソビエト隊が掘ってフランスなどと一緒に共同でコア解析をやって気候変化を調べています。

ここは地域的に見ると氷の流れがないか、非常に少ない。そういうところだと流れによる高度変化がないので深さを単純化して年代に都合がよいということで場所を選んでいるようです。

<スライド>

さて、もう少し短い年代、1000年から1万年の話になりますと、生物化石を使って調べたりしています。貝は、自然界に存在する質量数14の炭素を取り込むのですが、死ねばその時点で取り込みがストップするので、あとは壊変により一定の割合で減っていく。だから貝化石を採ってきてC14がどれだけ残っているかを調べればいつ死んだかがわかるということで調べるわけです。

このスライドでは、昭和基地側が手前で北になります。そしてしらせ氷河は南、奥になります。リュツォーホルム湾南方の露岩域のなかには、海岸がビーチ状になっているところがあります。そして砂浜からは貝の化石が採れます。昭和基地付近でも採れる。アイスシート、つまり大きな氷の固まりがその場所まで張り出してくればそこで死んだ化石などは氷と一緒に押し出されて普通はなくなってしまう。だから化石があるということはその化石年代にはそこは氷には覆われていなかったということになります。

 

 

 

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