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やまと山脈は、72°S、35°Eあたりの内陸にあり露岩の出ている場所です。南極全体で岩の出ているところは3%ぐらいしかなく、ほとんどは沿岸にあるのですが、内陸でも山地が出ている場所がある。
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この青いところはいわゆる昇華というかたちで氷が気体になっていくところと思われていますが、隕石などは主にこういう青氷地域で見つかります。年間約5センチから場所によっては10センチぐらい昇華してしまうと言われています。ということは10年たつと1メートル分ぐらい氷がなくなってしまうわけです。隕石はこういう岩のないところで黒いものが落ちていれば何かおかしいという感じで、言ってみれば単純なことで昭和基地から雪上車でドコドコ来て、スノーモービル、あるいは歩きで隊列を組んでなめるように氷上を見て歩きます。そして黒いものがあったというと拾いに行く。
そうやって拾い集めて四千何百個と、確か4366ですが、大きいのも小さいのも含めての話で、トータルの重さで言うと80〜90キログラムぐらいです。私は専門家ではないのでわからないのですが、見る人がみれば非常に珍しいものがある場合すぐにわかるそうです。
今回も分析しなくても月の石が2個ぐらい混ざっていたと集めた隊員が言っています。
火星とか月、あるいは炭素質隕石といって有機物を含んだ隕石もあり、生命の起源などを調べるのに適したものもあります。
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高いほうから低いほうへ向かって氷は流れてるのですが、氷の下の基盤岩が山脈として流れをせき止めるような形になっていると、氷はそこでブロックされて下から上へ上がってくる。海流などでも湧昇といって大陸のへりで下から上へ上がってくる、エルニーニョなどでよく話に出てくるペルー海流があります。そのように氷も言ってみれば湧昇と言うか上に昇ってきて消耗していく。そういう場所があります。
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では出て行くだけなのか。海の氷を含めて地球上の氷が年とともに面積的にはどんどん減っているのか、増えているのかということが温暖化等の関係で気になる部分です。海氷域の面積の年変化を調べてみると、スライドでは1972年から97年までとなっていますが、上から地球全体、北極域、南極域の順です。季節ごとに海氷域の面積を衛星で、あるいはいろいろな船の情報などをもとにどこまで張り出しているか調べて平均からのずれを求めます。南極の場合は当然、1月、2月、3月付近は海氷域は小さくなります。そして6月、7月、8月ぐらいになると張り出して、それからまた小さくなるという変化を繰り返すわけですが、その面積を足し算して全体で見たときどんな変化をしているのか。全期間平均からのずれを示す標準偏差が1よりも大きければ、あるいは-1より小さければ、これは統計的には有意にという言葉で言い換えてもいいわけですが、増えている、あるいは有意味に減っているということになります。