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一方、東側は大陸があってその上に厚い氷床というかたちで場所によっては三千数百メートル積もっている。周辺に行くほど傾きが急で、よく言われるのですが、お餅を伏せたようなかたちであると言われています。内陸に数百キロ入ると高さの変化はなだらかになるのですが、周辺域は非常に急である。氷は物性的に言えば非常に柔らかい物質ですので、結局中央から周辺へと流れていく。流れて、押し出されて海に出て行くということになります。

昭和基地は、経度で言うと39度30分付近、緯度で南緯69度付近にあります。この地図は真上が経度0度、昭和基地の北側はアフリカに相当しています。日本はだいたいフランスの基地付近からずっと赤道を通って反対側になります。

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ここにしらせ氷河という探検家・白瀬の名前を取った氷河がありますが、上空から見ると川のように速く流れる場所だとわかる。雲がかかりスライドでは川のようなかたちにはあまり見えませんが、幅も数十キロにわたります。またあとで衛星写真が出てきますが、末端のほうになると、末端というのは湾への出口ですが、年間当たり2500〜2700メートルという速さで氷が押し出されるという動きをしています。非常に変化が激しい。激しいというのは1年、10年というスケールで見れば目立たないようでも、地球の歴史という目で見れば速い速度で変化をしているということです。

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先ほど申しましたように海に近いほどかたちが急である。そして氷縁のどこからでも氷盤が押し出されて海に崩落していくわけです。昭和基地は大陸との間が10キロぐらいのオングル海峡を挟んで大陸と接している島の上にある基地ですが、昭和基地でもそういう崩落が見えるときがあります。絶えずそういう崩落をしています。

<スライド>

西南極で大きな崩壊が起きたというニュースがときどき新聞に出るようになりましたが、B-11という番号がついている昭和基地付近のこの氷盤は先ほどの西南極のほうから回ってきたものです。これは1997年7月ごろ撮った写真です。

 

 

 

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