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(3) 演題:「地球環境の変化〜南極の氷を通して〜」

講師:国立極地研究所 第39次越冬隊長 渋谷和雄 氏

 

司会 皆様、大変お待たせいたしました。ただいまより海事講演会〜海と船の環境を考える〜の第3回目を始めさせていただきます。本日司会役を務めます船の科学館の学芸課の清水と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日の講師は、国立極地研究所の第39次の越冬隊長の渋谷和雄氏です。私は隊長、隊長と呼んでいるのですが、第39次と言いますとついこの間帰って来たばかりということで新聞等でご存じの方もいらっしゃると思うのですが、隕石を4000個発見したとか、新たな発見をいろいろされて帰国されたということです。

皆様お持ちのレジュメに書いてありますとおり、渋谷氏は3回にわたり南極に行かれております。その中でも今回が一番成果があったということを伺っております。今日は主に「南極の氷を通して」ということで、その話を中心に約1時間にわたって先生のお話をお聞きしたいと思います。最後に質疑応答の時間も設けてございますので、ぜひこの機会に質問、お聞きになりたいことがございましたら、ぜひ渋谷隊長に聞いていただきたいと思います。

それでは渋谷隊長、よろしくお願いいたします。どうぞ皆様、拍手でお迎えください。(拍手)

渋谷 ただいま紹介にあずかりました渋谷でございます。今日は話をする機会をいただいたので、観測隊の話中心ではないのですが、特に南極の氷がどうなっていくか、どういう研究が行われてきたかということを中心にお話ししたいと思います。それでは早速スライドをお願いします。

<スライド>

たぶん皆様が特に関心があるのは、地球温暖化で南極の氷がどうなっていくのかということだと思います。長い目で見れば解けていくことはまず間違いないのですが、地球の水循環はいろいろ複雑で、現れ方もいろいろな側面があるので、1年、10年のスケールと何万年というスケールの話を同列には扱えないので、それぞれどういう研究が行われてきたかということも聴いていただければと思います。

ちょっと暗くて見づらいかもしれませんが、これは衛星写真で撮った南極です。北西―南東方向に黒く見えるのは岩の出ている山脈の連なっているところで、南極横断山脈と呼ばれています。大きく分けて便宜的に右側を東と呼んでいるのですが、東南極と左側の西南極とに分かれて、西南極は氷を取り去ってみるとほとんど海で陸地の部分は面積が非常に少ない。そういうところに氷が積もって固まって、いまはこういうかたちで存在しているわけですが、非常に不安定な状態にあると思われています。

 

 

 

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