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そのとき私は、ああ、魚が喜ぶだろうなと思って見ていたのですが、別のときにその光景を見たアメリカ人が、カメラに収めて、海では海上何マイルなどとわかりませんし、お客がそう言えば受けたほうはそう信じるよりしょうがないと思いますが、アメリカ人がそれをカメラに収めた。それはムービーかどうか知りませんが、証拠写真としてアメリカ連邦局に売ったために、あるカリブ海を走る船会社は何千万ドルというすごい罰金が課せられたのだそうです。アメリカという国は非常にルール違反には厳しいようです。

そのカリブ海に私は毎年生徒を100人近く連れてクルーズに出掛けていますが、これからそのクルーズの失敗談のお話などもしたいと思います。航空機の料金が一番安いのが12月の初めごろですので、その時期をねらう。そして一番大きな船で、一番新しい船に乗ります。一番新しい船は安全であろうということと、いまの若者は行儀が悪くて、うちの生徒も行儀が悪いので、なるべく生徒が目立たないようなことを考えて大きな客船にほうり込む。そうすると生徒はどこに散らばったのか、行儀の悪さがあまり目立ちませんので、ちょっとはほっとするわけです。

いまの若者は家庭で本当に何も躾をしてもらっていないようです。今日は企業の採用面接試験。「おうちでお父さんは何かおっしゃった?」と聞くと「いや、何も言わん」、「お母さんは?」「何も言わん」と言います。汚いジャンパーなどを着て平気で行きますから、もう5、6年前から面接試験のためもあって制服としてブレザーをつくりました。

そしたらいくらか見られるようになりました。池袋のサンシャインビルのホテルの料理長が、お宅から4人採るから4人寄こしなさいと言われて、制服なしで行ったのですが、そうしたら「お宅の生徒はボソッと来て、そしてヌーッと部屋に入って、黙って立っている。何のなにがしと名前も言わないで」と、とにかく態度がよくなかったそうです。それでも4人は採ってくれましたが、そういったことからうちは就職面接の試験もおけいこをさせます。私の部屋を使って、「はい、ノックして入ってこい。名前を名乗れ。おかけなさいと言われるまでかけてはいかんぞ」とか言ってやっていますが、そういうふうに家庭でやることをみんな学校に押し付けて大変です。

うちの女の先生があまり言うことを聞かない男の子がいたので、家庭に電話をして「もう少しお宅でも厳しく言ってください。学校で言うことを聞かないで困っていますから」と言った。すると母親が博多弁で「先生、何を言うとですか。うちで言うことを聞かんからわざわざ金を出して、お宅に預けとんですよ。先生こそもうちょっとしっかりしてください」と言われて女の先生は頭に来たと怒っていました。そういう実情がいまの家庭です。

 

 

 

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