そしてまた海洋のほ乳動物のほうが、陸上のほ乳動物よりも外から入ってきた薬害に対する抵抗力が弱いのです。つまり薬害を分解する能力に欠けている。そのために洋上ほ乳動物であるアザラシとかイルカが大量に死にました。
アメリカのフロリダでも農業地帯にDDTをまいたお陰でワニが大量に死んだということです。それからオーストラリアではヒツジが大量に死にました。これは大変なことで、動物の死がいつかは人間の体にも汚染が及んで来るのではないかということでDDTの製造は禁止されました。DDTが体内に入ると人間の免疫機能をだめにします。それが一番怖いのです。人間には免疫機能があるので少々のばい菌が入ってもそれを押し出し、殺す力がありますが、その免疫機能がだめになると人間は少々の細菌で死に至ることもあるわけですから、非常に恐ろしい。人間が開発したDDTが人間の体をもむしばんでいることになるのです。
それでDDTの製造が禁止され、それに代わるものとしてダイオキシンが開発されました。これがまたやっかいな薬剤でダイオキシンはDDTと同じような成分を持ち、いまでは環境ホルモンの原因ではないかと言われています。
ダイオキシンはアメリカがベトナム戦争で大量にばらまきました。1960年から10年間、ベトナム国内で内戦が起こりました。地主側と小作人側で、小作人はもちろん共産勢力の農民でした。そこでアメリカはアジアの自由を守るためにと言って戦争に介入し、10万余のたくさんの兵と兵器、それにダイオキシンを送り込んで、なんと空中から散布したダイオキシンは40万トンにのぼるということです。そしてその目的はと言えば、ジャングルに向けて、ジャングルが小作の農民兵の住んでいる場所でしたから、その住みかを根こそぎに倒してしまおうと、ジャングルにたくさんの枯れ葉剤をばらまいた。
そうしたら植物ばかりでなく、ベトナム兵の他に、そこに分け行ったアメリカ兵も非常に害を受けました。帰国したアメリカ兵の中には体中に吹き出物が出たり、肝臓障害を起こしたりと大変でした。そこでアメリカ国内では反対運動が起こり、アメリカ国内でも空中散布していましたが、アメリカ国内でも、ベトナムでも空中散布はやめましょうということになりました。国民の力は恐ろしいが、いいことですね。そしてベトナムの内戦は終わり、共産軍が勝ってアメリカのベトナム介入は失敗に終わりました。戦争は済んだのですが、ダイオキシンの被害は地中深く残り、いまだにその害は恐ろしいものです。
アメリカではナイアガラ地方には非常に豊富な水資源がありますから、その水資源を利用していろいろな工場地帯がそこに出来ました。各工場から出た廃棄物をみんなその土地に埋めていました。そしてその埋めた土地にはきれいに住宅地ができて、そこに人々は移り住みましたが、数年たって雨が降ると変な匂いがする、地下室から黒い水が出てくる、地下室にポッカリ穴があく。