とりとめのない話で時間が過ぎてしまいましたが、とりあえずここで私の話は終了させていただきます。
司会 ぜひこの機会にキャプテンに質問をしたい方、後ろのほうの眼鏡の方からお願いします。
質問 11月の下旬に横浜市民クルーズというのがあるそうで、四十数人の団体で乗ることになっています。今日は野崎船長のお話をお聞きしたいということでまいりました。
それは別として、質問は何かで見たのですが、いまどき南シナ海やフィリピン沖では昔ながらの海賊が出て、だいぶ多くの船が襲撃されているという話を聞きましたが、“飛鳥”ではそういうものに対する対策のようなものは実際にとっておられるのでしょうか。また危険度はあのように大きな船までも襲われるようなことがあるのでしょうか。そのへんのことをお聞かせください。
野崎 昨日か一昨日の新聞にも政府が対策委員会をつくっていると言っていました。実際に海賊はいます。世界中にいるのですが、いちばん多いのが東南アジアで、シンガポールの北の、われわれはナンバスと言いますが、南のタイの東側とあのへんの非常に交差したエリアです。
フィリピンとベトナムの連中、シンガポール、もう一つはシンガポールとインドネシアの間のマラッカ海峡の北の部分で、英語でパイレーツと呼んでいますので、訳すと海賊ですが、要は泥棒です。泥棒というよりも強盗です。マシンガンを持っていて、高速ボートに30ノットから35ノットぐらいの船でゴムボートに近付いてきて、チャラチャラと昔の忍者のようなものでひっかけて上がってきて、船長のところに来て金を要求するか、皆からモノを出せということをやっているそうです。
日本船も過去5年ぐらいで5、6隻、海賊に遭っていますが、遭った船はほとんどシンガポール、インドネシアのほうから来ている貨物船が多いです。
“飛鳥”の場合にはもう南シナ海に入ってマラッカ海峡に抜けるまで海賊対策をしています。まずこれがいちばん効くのですが、船の周りに放水します。船の周りに全部消火栓を開けっぱなしにして、水を出しっぱなしにしておきます。各デッキには見張りを立て、その見張りがボートを見つけたらブリッジに連絡する。それからありとあらゆる電気をつけて、船の周りをこうこうと明るく照らしておきます。