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われわれのほうは先ほど申し上げましたように設備にはお金がかかりましたが、お金をかけてつくっている水ではありません。ここは横浜ですが、2年ぐらい前に関東や九州で渇水になって水がなかった。特に九州などは給水制限があり、そのときに九州のほうに行ってお客様を乗せました。われわれの船はいちばん上のデッキにグランド・スパという温泉を持っているのですが、流しっぱなしにしていたら、「キャプテン、水は粗末にしてはいけない」と怒られ「わかりました」と申し上げました。

しかしそのときに水は大切だと皆さんおっしゃっていたので、こんなに豊富に使えるのかということで仕組みをご説明したら納得していただきました。

環境問題として、いま非常に船の走るエリアもそうですが、たとえばアラスカに行ってグレーシャーベイで氷河を見る。昔はグレーシャーベイなどに入り込み氷河の前面まで船が行って、ひどい船長になると「汽笛でも吹いてみましょうか」と言って汽笛を吹いて、氷河からフワーンと返ってくるのを楽しんでいた。ひどい船長ではなく、だいたいの船長がやっていました。私も前の船でやったことがあるのですが、いまそのようなことをしたら大目玉を食らいます。

船は静かに氷河に入って静かに出ていけ。なおかつ同じ船会社で、たとえばグレーシャーベイに入れるのは年間何回という回数制限がされています。“飛鳥”のように1年に1度ぐらい行く船はすぐ入れてくれますが、有名な氷河はいっぱいになっていたら絶対に入れてくれない。中ではコントロールされていて、ボートを下ろして氷河からの氷を持ってきて「何をするんだ」と言うと「氷河の氷でオンザロックを」と言うとそれぐらいの氷は揚げさせてくれますが、長いこといてはいけない。

南極大陸には各国のベース、基地があります。そこも今回、この船については100人しか上陸していけませんというように上陸制限をしているところがほとんどです。“飛鳥”は帰りにミッドウェイに寄ってきますが、ミッドウェイの場合にはいまアメリカ軍の基地ではなく、ほとんど自然公園になっていて野鳥の群れがいます。あそこは島中、アホウドリだらけです。ですからミッドウェイに行かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、ミッドウェイの飛行機は、だいたい昼間はほとんど一切飛びません。昼間飛ぶと鳥が驚きます。ですからミッドウェイの飛行機の離着陸は必ず夜です。

それぐらい神経を使っていますから、客船がミッドウェイに行っても、“飛鳥”から一度に上陸できる人は100人で、100人上がっていただく。島は狭いですから1時間か1時間半もあれば見ることができます。その100人の方が帰ってきたら、次の100人が出ていきなさいという指導を受けています。今回“飛鳥”が行ったときに、何とかそれを200人ぐらいにしてもらおうかと現地で交渉すると言って出ていきましたから、どうなるかわかりませんが、それほどいまは非常に生物、環境の保全には各国気を使っているようです。

 

 

 

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