ただ船の長さが191メートル、200メートルより短い場合、経験値で大洋航海中の大洋の大きなうねりの長さが200メートル以上ありますので、どうしても太平洋、大西洋、インド洋のど真ん中で、それぐらいの大きなうねりに入ると完全に船がどっぷりうねりの中に入ってしまい、ピッチングを始めます。ピッチングは止めることができませんが、ローリングは止まります。
ただ今回揺れなかったと先ほど申し上げたのですが、揺れないで帰ってくると揺れないで帰ってきたでたいへんに文句を言うお客様がいます。「俺は高い金を払って船に乗ったのに乗ったような気分にならない」。そういうときには謝るしかないです。ただそのようなときに必ず申し上げるのですが「船は揺れるより揺れないほうがいいですよ」と言うと「いや、揺れたほうがいい」と言います。これはどこまで話しても結論が出ない話です。
そういうことで“飛鳥”は今年は、わりと気象の変化の少ないところを走りました。総距離、走った距離が3万2000マイルです。正確に言いますと3万2000マイルに少し端数がつきます。赤道上でいくと、地球の赤道の上を1.4回りぐらいした距離になります。だいたい世界一周は3万マイルぐらいの航続距離だと思います。商船三井さんの“にっぽん丸”は南米のほうからアラスカのほうまで上がりますので、これよりも若干増えるのかと想像はしていますが、“飛鳥”の場合は4回ともだいたい3万から3万2000マイルの間で走っています。
第1回目の世界一周をわれわれが考えたときには、昔の欧州航路は横浜から出て上海に行って香港を見て、シンガポールで一息ついて、スエズ運河を過ぎたらマルセイユだなとという古文書のようなものを引っ張り出し、偉い人がスケジュールを決めて、まさしくそのとおりに走ったのですが、横浜、神戸、上海、香港と寄っていますとたいへんに忙しいです。
私どもは忙しいですが、乗ったお客様が横浜から乗って香港を出るまで荷物も解けない間に「あっ」と言う間に船が港に着いてしまいますので、もう少し整理しようということで第2回目からは上海をカットしています。神戸から一気に香港、香港からシンガポールというのがスタートになっていて、シンガポールから次がコロンボに寄るか、または若い方でダイビングが得意の方が好きなモルジブという島、このどちらかに寄ってそのままボンベイに上がる。
去年から始めているのですが、ボンベイからペルシャ湾のドバイというところに寄っています。ドバイからアデン、今年はアカバ湾に入りヨルダンのアカバに寄り、スエズ湾で地中海に抜けるというルートを取っています。世界一周クルーズの中をそれぞれ区間を区切ったクルーズとして欧州の客船等は販売しています。たとえば地中海クルーズ、それは地中海だけのクルーズでだいたい2週間で仕上げています。