地中海の4月は少し早いです。地中海クルーズが始まる前ですから、われわれの寄港地としては地中海ではギリシアのアテネ、サントリーニという島に寄港、ロードス島、イスタンブールまで行くのですが、イスタンブール、サントリーニ、アテネあたりは、この季節、4月過ぎですとちょっとまだ寒い感じですが、それほど時化る海でもありません。
大西洋はまだ北のほうは氷山のあるような寒い時期なのですが、リスボンからニューヨークに直行するのではなく、われわれは必ず大西洋横断のときには、途中にある島があるのですが、アゾレスに寄ります。アゾレスの場所が北緯35度で日本のちょうど裏側なのですが、まずリスボンより35度まで下りてしまって、35度からニューヨークまで上がりますから、それほど北を通らないようなルートになっています。
太平洋も一緒ですが、サンフランシスコまで行って、サンフランシスコから横浜まで一気に帰ってきますとそうとう北まで上がるのですが、必ずホノルルを入れています。ホノルルまで下りて、それから上がってきますので、北の海の風の強い、波の高いエリアは避けるようなスケジュールにしています。
先ほども少しお話ししたのですが、世界一周をして船酔いが怖い、船が揺れませんかというお話で私も考えたのですが、私は第1回目と今回の4回目を乗ってきました。2回、3回目の記録を見ても、どこで揺れると海域を特定できないし、実は今回はほとんど揺れていないんです。
たいへんに奥様に優しい旦那様が十何人いらっしゃって、やさしいほかに理由があるのかよくわからないのですが、「おまえは船に弱いから、今回は遠慮しろ」ということで、旦那さんだけ乗ってきた方がいらっしゃいます。その方たちが横浜近辺になって「船長、これだったらおれもかみさんを連れてくればよかった」と言うから、なぜそれをもっと早く言ってニューヨークに呼ばなかったのですかと笑ったのですが、それほど船は揺れませんでした。ただ昨年の場合は大西洋で揺れましたいう私の交代の船長の話でした。
第1回目のときには、横浜から出発し、横浜の次の寄港地は神戸なのですが、横浜から神戸までが大しけでした。石廊崎の沖の神子元島という島があるのですが、神子元島の沖が冬でしけられるのは当たり前の話ですが、春先になぜそんな大きなうねりができるのか、最近はめったに使用しないのですが、われわれが習ったときにそのように習った台湾坊主という低気圧があります。なぜお坊様かよくわからないのですが、台湾のところに突如できた低気圧が、日本の南に「あっ」と言う間にすっ飛んできます。