ちなみに今回の第4回目の世界一周ですが、そこにも書きましたが、3月3日から7日までの97日間の航海をしました。スルーというか、最初から最後まで乗ったお客様が310名、途中の地中海、ニューヨーク近辺でそれぞれ80から90名のお客様が乗っていらっしゃいましたので、だいたい400人ぐらいのお客様です。今回は4回やったクルーズの中でお客様の数としてはいちばん少ない数でしたが、反面いちばん船の中が静かなクルーズでした。
世界一周のクルーズは、クルーズの中でも究極のクルーズと言っていて、世界でも毎年7隻から8隻ぐらいの客船が世界一周をしています。今年は“飛鳥”が終了しましたが、いま商船三井客船の“にっぽん丸”が世界一周中です。間もなく帰ってくると思いますが、われわれよりも1カ月かその後に出ていっています。
去年も日本船は2隻でしたが、今年も日本から2隻が世界一周をしています。世界で有名な船では“QEII”や、“オリアナ”などが毎年世界一周をしています。クルーズの船会社として、世界一周を仕上げるのはたいへん苦労があります。単純に考えただけでも食料の補給、燃料、水の補給があります。特に日本船の場合には日本食の補給を地球の向こう側までいっても続けるのですから、補給の計画を立てるのが非常に複雑で、世界一周のクルーズを仕上げれば、ほかにどこのエリアでも行けるのではないかというようなことを言っています。
幸いうちの日本郵船という会社は、世界中にコンテナ船、貨物船の航路網を持っていますので、たとえばの話、新鮮な日本食の材料がほしいときには、“飛鳥”の行く前をうちのコンテナ船が走っています。そのコンテナ船はわれわれの後から出てくるのですが、彼らはスピードがあるのでどんどん抜いていって、“飛鳥”の行く前の港に冷凍コンテナで置いていってくれます。それをわれわれは拾いながら走っています。単純に言った話ですが、そういった補給方法で走っています。
世界一周の場合にはだいたい西回り世界一周をします。東回り世界一周をしているクルーズ船はほとんどないと思います。いままでの記録では戦後から戦前、戦後にやっていた南米の移民船、これも客船ですが、南米行きの船は西回りで、喜望峰回りで行った船とパナマ経由東回りで行った船があるようです。これは単純に途中の貨客船ですから、荷物の都合や航海距離があったと思いますが、航海距離はあまり変わらないと思います。ただ東回りの世界一周は物騒な話ですが、クルーを殺すと言われています。なぜなら時差の関係です。