会社は、「二重課税」されているといわれる。すなわち、会社はまず、会社税として利益の28パーセント課税され、次に残りの72パーセントの利益については、株式などの所有者が配当金に対して30パーセントの資本税を支払っている。したがって、28%+72%×0.3=49.6%となり、会社は事業収益に対して50パーセント近い税金を支払っていることになる。
[年金収益税]
年金収益税は、年金資金を運営している生命保険会社や年金貯蓄会社などに課される。税制上は、納税義務者は、以下の7種である。
1]スウェーデンの生命保険会社、
2](スウェーデンで事業をしている)外国の生命保険会社、
3]生命保険事業をしている援助協会、
4]年金財団、
5](年金を意図した)年金債務を財政報告している雇用者
6]年金貯金を有する者(スウェーデン在住の個人のみ)
7] スウェーデン法人およびスウェーデンに住む個人で
a) スウェーデンで事業を起こしていない保険事業の資本保険を有する者
b) スウェーデンで事業を起こしていないがスウェーデンの年金保険とみなされるその他の保険を有する者
課税は、年金資本の価値をべースにする。このべースに国の平均貸出レートをかけてモデル収益を算出し、これに対し課税される。税率は原則として、15パーセントであるが、上記の1]2]3]及び7]に関しては、27パーセントである。
年金収益税は1991年の税制改革によって導入された。この税金の目的は、年金貯蓄と通常の銀行貯蓄などに対する課税を同等にすることである。
5. 新年金制度
高齢社会に直面している福祉国家にとって、高齢者の経済生活をいかに保障していくかは、多かれ少なかれ共通の問題であろう。そこで、最後に、スウェーデンの現行年金制度とその問題点、およびその問題点を解決すべく施行される予定である新年金制度について述べたい。
2001年より、現行年金制度に代わり新たな年金制度による年金支払いが段階的にスタートする予定である。現行の年金制度は、1920年代以降スウェーデンで市民生活を送ってきた人々や1960年代以降労働生活を送ってきた人々に、その後の確固たる経済生活を保障してきた。